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- 26.09.24
◆特別企画◆ BASE LAYER HOTELのリブランド事例【三井デザインテック】
国内各地で、既存ホテル・旅館のブランド変更(リブランド)が相次いで行われている。既存施設のレイアウトやインテリア、機能を生かしながら、新たなブランドのコンセプトに合わせて空間を再構築するには、デザインの力が欠かせない。
三井デザインテック(東京都中央区)では、リブランドに伴う大規模改修やリノベーションを数多く手掛けている。今回はその事例の一つとして、霞ヶ関キャピタルグループのfav hospitality group(東京都千代田区)と GREENING(東京都渋谷区)が立ち上げた〝カルチャービジネスホテル〟ブランドの「BASE LAYER HOTEL」のデザイン実績を紹介する。
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BASE LAYER HOTELは、昨年、fav hospitality groupとGREENINGが共同で立ち上げたホテルブランド。「カルチャービジネスホテル」という新たなカテゴリーを掲げ、「街を遊ぶ、ビジネスホテルの新しいカタチ」をコンセプトに展開。ビジネスパーソンが仕事のパフォーマンスを高めるだけでなく、滞在する街の文化や魅力に触れ、そこから新たな刺激やインスピレーションを得られる滞在体験を提供する。
ブランド名の「BASE LAYER」は、アウトドアにおける基礎機能ウェアに由来する。快適な滞在と街歩きを支える基本的な機能を備えるとともに、地域とのつながりや上質な滞在を感じられるコンテンツを提供。年齢や性別、 国籍を問わず、 様々な旅行者が街の魅力を楽しみながら、新鮮なホテル体験を得られるブランドを目指す。
昨年7月9日に開業したのが、1号店のBASE LAYER HOTEL NAGOYA NISHIKI(名古屋市中区)だ。客室全186室は、広さ約12㎡から38㎡。全7タイプを展開し、コンパクトながらも収納性に優れたダブルルームから、大型液晶テレビとホテル初導入となる3Dサラウンドシステムを完備しシアターのような臨場感を楽しめる客室、ロウリュ付きサウナを併設したスイートタイプの客室など、バラエティに富んだ客室タイプを設ける。
全ての客室にはFRUIT OF THE LOOMのパジャマやタオル、cadoの空気清浄機などを採用したほか、QRコードや暗証番号で解錠できるスマートロックを導入し、シームレスな滞在を実現する。
館内には貸切サウナやランドリー、 ロッカールームなど、 長期滞在需要に応える設備を用意する。 1階には 「MAISON YWE」 が出店し、 自家製の料理やドリンク、アルコールを提供する。また、街の魅力を発信するWEBメディア「YOUR CITY IS GOOD?」と連携し、音楽やアートなどのイベントも展開する。
今年4月、名古屋に続くブランド2号店として開業したのが、BASE LAYER HOTEL FUKUOKA(福岡市中央区)だ。福岡・渡辺通り沿い、天神と博多の中間に位置し、ビジネスと観光の双方に便利な立地環境にある。
客室数は126室、全7タイプで、ダブルルームやツインルームのほか、家族・グループでの滞在に対応するファミリールームやフォースルーム、専用サウナを設けたサウナツインも用意し、滞在中、街遊びとウェルネスを自由に楽しめる。
アメニティには、植物由来の香りが心を整えるスキンケアブランド「athletia(アスレティア) 」を採用したほか、cadoの空気清浄機、大型液晶テレビ、3Dサラウンドシステム「OPSODIS 1(オプソーディスワン) 」 を設置した。
1階には24時間利用可能な無人コンビニ「BL*MART」を設け、地域住民と旅行者をつなぐカルチャーストアとして運営する。
【霞ヶ関キャピタルHospitality and Culture Division Rethink & Opportunity Senior Vice President 細見優花氏】
BASE LAYER HOTELは、ビジネスホテルに求められる「快適な滞在」と、旅先ならではの文化や食、音楽などを楽しむ「街遊び」の両方を支えるホテルを目指しています。
この二つを軸にデザイン・設備・サービスを組み立て、快眠や食、入浴など宿泊の基本機能の品質を重視する一方、例えばチェックアウト後の17時まで朝食を利用でき、さらに、ホテル周辺の飲食店やショップなどを独自の視点で紹介するなど、従来の宿泊主体型ホテルの枠組みにとらわれないサービスを提供します。
既存ホテルのリブランドでは、建物ごとに客室や設備、立地などの条件が異なります。建物のもとの特徴を活かしながら、BASE LAYER HOTELの思想や体験を共通させることで、ブランドとしての一貫性をつくっています。
共通して重視するのは、「快適な滞在」と「楽しい街遊びを支える」というブランドの基本思想。具体的には、ロゴやサイン、タイポグラフィー、寝具・アメニティなど宿泊客が実際に触れる体験にかかわる部分にブランドの考え方を反映する一方、インテリアやアート、飲食、BGMなどについては、ローカルプレイヤーやクリエイターとの協業も重視しています。
【三井デザインテックデザインディレクター 岩畑奈生子氏】
――BASE LAYER HOTELのコンセプトをどのように具現化したか。
岩畑 BASE LAYER HOTELは、コンセプトやローカリティーテーマを分かりやすくデザイン表現する方法ではなく、地域性含めてカラー・マテリアル・ライティングなどで表現しています。
福岡は、博多の賑やかさを表現する意図でオレンジをローカルデザインカラーとし、オレンジと相性の良いネイビーの2色をキーカラーとしました。また、マテリアルは、街とシームレスな印象を持たせるため金物やメッシュ素材を採用し、都市とカルチャー感をライティングで演出しています。
名古屋の客室はローカルブランドカラーのグリーンを使い、ミニマムでシンプルなデザインの中に機能を詰め込んでいます。また、ミニマムさを逆手に取り、シャワーブースを空間のアクセントとし、壁面はカスタマイズできる遊び心を取り入れたりしています。
全ての客室には大画面のTVを設け、映画や映像コンテンツを大迫力で楽しめる機器を設置しています。インテリア・サイン・アメニティーに至るまでトータルでブランドコンセプトを反映し、BASE LAYER HOTELの世界観を構築しました。
――BASE LAYER HOTELのブランドと既存ホテルの条件のすり合わせをどのように図ったのか。
岩畑 既設のハードを活かしつつ、インテリア・設備をアップデートする手法を随所に取り入れています。初めに調査と検討を行い、できることとできないことをそれぞれ精査し、できることをお客様と対話を重ね詳細を詰めていきました。
例えば、福岡の1階共用部には厨房やサウナのチラー設備などを新設しており、デザインとともに、いわゆるバックヤードの計画も重要ポイントとして進めました。また、客室は広さ11㎡から12㎡のタイプが最も多かったため、いかに快適性と機能性を両立できるかを最優先に考えました。ミニマムさを逆手に取りながら、BASE LAYER HOTELのブランドイメージをしっかりと取り入れ、同ブランドらしい客室となるようデザインしています。
(国際ホテル旅館2026年9月20日号)
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