TOP INTERVIEW
経営者に聞く
スタッフの成長と社会活動への意欲を後押し【三井不動産ホテルマネジメント】
「記憶に残るホテル」の理念のもと、全国の主要都市部に高品質な宿泊主体型ホテルを展開する三井不動産ホテルマネジメント(東京都中央区)。インバウンド需要の高まりが追い風となる中、ホテルの立地や施設スペック等のハードだけでなく、接客サービスなどのソフトの強化にも力を入れている。同社が運営するホテルのホスピタリティを支える人材確保・育成に向けた最新の取り組みを雀部優社長に聞いた。
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――国内宿泊業界は、インバウンド需要を追い風に好調が続いた。
雀部 当社が運営するホテルの外国人客比率は全体で平均60%、都内においては80%を超えることも珍しくありません。インバウンドが業績の上昇を後押ししたことは間違いなく、外国人客にも快適な滞在を提供するため、外国籍スタッフの拡充を含む多言語対応の接客サービスなどを強化しています。
一方、価格上昇に見合った滞在価値提供も大きな課題の一つです。当社は数年前から「ハレの日」の宿泊需要に着目し、誕生日や結婚記念日、プロポーズなど、特別なシーンを過ごしていただくための様々な宿泊プラン・サービスを提案し、宿泊価値を高める施策を推進してきました。
――三井ガーデンホテル豊洲プレミア(東京都江東区)のプロポーズプランが人気だった。
雀部 豊洲は眺望の良さなどを活かし、特別ディナーがセットになった記念日宿泊プランや、フラワーアレンジメントなどのアニバーサリーオプションサービスが人気です。
今、それを超える反響を得ているのが2023年5月に開業した三井ガーデンホテル横浜みなとみらいプレミア(横浜市西区)で、利用数は豊洲の倍以上に達しました。
――スタッフのエンゲージメント強化にも取り組んでいる。
雀部 処遇全般の改善に継続して取り組んでいますが、最近、それが全てではないと感じることがあります。
というのも、新卒採用の面接などで、応募者から「自分が成長する機会があるか」という趣旨の質問が年々増えています。当社はかねてからスタッフへのエンゲージマネジメントに力を入れてきましたが、若いスタッフほど大きな効果が出ていると実感しています。
こうした成長の機会をさらに増やすため、三井不動産グループのネットワークを活用した研修を始めました。昨年4月からハレクラニ沖縄(沖縄県国頭郡)で当社社員3名が1年間の研修勤務を行っています。また、今年4月からは台湾のMGH Mitsui Garden Hotel台北忠孝とそれぞれの社員を1名ずつ1年間派遣する〝交換研修出向〟を実施する予定です。
ラグジュアリーホテルのサービスを現地で学ぶ国内外での視察研修も昨年から本格始動し、いずれも予定人数を大幅に上回る数の応募があり、参加者からは高い評価を得ています。これらの活動が一因となり、離職率の低減にも繋がっています。
(国際ホテル旅館2025年1月5日号から抜粋)