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経営者に聞く

地域の〝価値〟を活かした滞在体験を提供【グランビスタ ホテル&リゾート】

地域の〝価値〟を活かした滞在体験を提供【グランビスタ ホテル&リゾート】

グランビスタホテル&リゾート(東京都千代田区)は、6月14日付で、代表取締役社長に荒井幸雄氏が就任した。不動産の価値向上に向けて様々な施設の開発・再生・運営に携わってきた経験を踏まえて、グランビスタホテル&リゾートのステートメント「地域の価値で、未来を変えていく。」を具現化する事業を推進する。6月には神戸須磨シーワールド(神戸市須磨区)を開業し、さらなる挑戦を進める同社の舵取りを荒井氏に聞いた。

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――ホテルやリゾートの開発・再生に長年関わってきた。

荒井 前職でプライベートエクイティ(PE)を扱った流れから、様々な分野のM&A、事業再生、新規事業開発等を手掛けてきました。

ちょうど、不動産業が投資・金融の分野と融合していく過渡期で、投資採算性の観点から不動産の価値をいかに高めるか、運営サイドとして携わる機会も多く、旅館・リゾートホテルの再生、宿泊特化型ホテルの開発、ゴルフ場や観光施設の再建等を行ってきました。

――2017年、グランビスタホテル&リゾートに入社し常務取締役に就任した。

荒井 当社は2018年、サンケイビル(東京都千代田区)の100%子会社になり、長年手掛けてきたホスピタリティビジネスに加えて、サンケイビルのホテルリゾート事業の中核会社として保有資産の価値向上という役割も担うこととなりました。そして、当社のステートメントである「地域の価値で、未来を変えていく。」を具現化する価値体験型ホテルブランドとして「インターゲートホテルズ」の立ち上げを発表しました。

現在、インターゲートホテルズは東京や大阪、京都、広島、金沢に5ホテルを展開しており、伝統工芸品の製作体験等ができるワークショップの開催、お祭り・行事への参加体験ができる宿泊プラン、地元食材や郷土料理等を取り入れた朝食メニューの提供等を行っています。滞在を通じて地域の文化・産業に触れる機会を作ることが価値となり、地域の皆さんの収益機会にも繋がることも目指しています。

――6月に神戸須磨シーワールド/神戸須磨シーワールドホテルを開業した。

荒井 「須磨海浜水族園・海浜公園再整備事業」にかかるPark-PFI事業者の一員として、当社は水族館とホテルの運営に携わっています。

水族館の運営については、鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)の運営実績で培ったノウハウ等を活かし、楽しみながら学びも得られる「エデュテインメント(Education+Entertainment)」を意識した展示としています。

――館内ではレストランやショップも営業している。

荒井 これもハイウエイレストランの運営実績を活かした運営を行っています。開業前に市民向け内覧会を行ったところ、10万組・35万人超の方にご応募いただき、反響の大きさを感じました。開業してからは、来館客の平均滞在時間が当初見込みよりも1時間ほど長く、売上も一般的には90%が入館料売上とされるところ50%程度にとどまり、レストランや物販による売上構成比が非常に大きくなっています。来館客の皆さんは、食事やショッピングも楽しみながら多くの時間を神戸須磨シーワールドで過ごされていると推察しています。

――ホテルの新規出店や新しい事業展開は、サンケイビルとのタッグが前提となるのか。

荒井 サンケイビルは当社の親会社であると同時に、相互に重要なパートナーです。6月に開業したキャプションby Hyatt なんば大阪(大阪市中央区)は、サンケイビルの関連会社とハイアットが締結したFC契約に基づき、当社が運営を担っています。他にもグローバルブランドのホテルの運営・経営会社を当社が引き受けた事例もあります。一方で、当社が独自に他のデベロッパー等と提携して出店する選択肢も十分あり得ると思います。

インターゲートホテルズは、一般的な宿泊主体型ホテルとは異なる「価値体験型ホテル」という特徴を持ち、そのために地域との共生や人脈づくりといったことを実践しています。地域ならではの特徴を深掘りし、その魅力を発信することで地域活性化にも貢献することを各地で展開していきたいです。

(国際ホテル旅館2024年8月5日号)