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経営者に聞く

顧客の人生に寄り添い特別な瞬間に立ち会う場へ【藤田観光代表取締役 山下信典氏】
――昨年(2025年)12月期の業績が好調だ。
山下 第3四半期時点ではありますが、前年度に続いて増収増益、過去最高益を更新する見込みです。業績を牽引しているのはインバウンド需要で、特定の市場に偏ることなく、様々な国・地域を開拓してきたセールス活動が功を奏しています。
――単価上昇が進む一方で、人件費・労務費の増加にも正面から向き合っている。
山下 コロナ禍の苦境を乗り越え、業績が軌道に乗った今こそ、獲得した利益を従業員に還元するべきだと考えています。観光立国を目指す日本において、サービス産業を支える人材への投資や労働環境の整備・改善は不可欠です。価格転嫁や株主配当とのバランスにも配慮しながら、持続可能な経営を実現するための利益還元を進めていきます。
――ラグジュアリー&バンケット事業の旗艦施設であるホテル椿山荘東京は、宴会・婚礼需要が堅調に推移する。
山下 庭園という唯一無二の資産を最大限に生かした宴会場の改装等を進めています。加えて、従来から取り組んできた料理・サービスの品質向上、営業力の強化が実を結んだ結果だと捉えています。
婚礼はセールスから予約、施行まで1年以上を要するケースが多く、現在の予約状況も堅調に推移しています。結婚式は、新郎新婦にとって人生の新たなスタートであり、そこから様々な節目を迎えることになります。「結婚記念日」や「お食い初め」「七五三」といった行事もその一つで、こうした大切な機会にまたホテル椿山荘東京を訪れて下さるきっかけとなっています。
――生涯顧客としての関係構築を重視する。
山下 新郎新婦だけでなく、挙式披露宴のゲストも将来の顧客になり得る存在です。ホテル椿山荘東京を訪れた方たちからは「友人・知人の結婚式」や「宴会 ・ パーティー」で来館したことがある、という声を多く聞きます。記念日を過ごす場、あるいは誰かの人生の特別な瞬間に立ち会う場を提供していることこそが、当社の本質だと考えています。その一つが結婚式であり、引き続き注力していきたいと考えています。
今年10月には、庭園と空を一望できる絶景新宴会場 「フォレスタ」をオープン予定です。
――昨年11月7日に会社設立70周年を迎え、記念事業として「あなたの夢叶えます」プロジェクトを展開した。
山下 70周年記念事業のプロジェクトメンバーから出てきたアイデアの一つです。昨年1月から2月にかけて、藤田観光で叶えたい「夢」を募集したところ、900件を超える応募が寄せられました。
当社が運営する施設が誰かの思い出をつなぐ。こうした体験こそが「付加価値」
であり、何が付加価値なのか、そのヒントを顧客自身が持っていることも多いと感じます。
顧客の様々な思いや目的を察し、万全の体制で迎え入れ、サービスを提供することが何よりも重要です。
ホテルスタッフは、接客、調理、清掃等、様々なサービスに従事しますが、それぞれの本質を追求することが選ばれる条件になると思います。今回の夢を叶える企画でも、各分野のプロフェッショナルが技能を生かしながら顧客の要望に寄り添ったことで、新たな感動が生まれ、付加価値につながりました。
(国際ホテル旅館2026年1月20日号から抜粋)
