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経営者に聞く

運営改善とサービス品質向上のアイデアを日常的に議論【ベッセルホテル開発代表取締役社長 瀬尾吉郎氏】

運営改善とサービス品質向上のアイデアを日常的に議論【ベッセルホテル開発代表取締役社長 瀬尾吉郎氏】

――昨年(2025年)の市場環境と御社業績はどうだったか。

瀬尾 全体的な傾向として、国内の観光・レジャー旅行やインバウンド需要をうまく取り込むことができました。ADRは前年比で10%以上上昇し、稼働率も全体平均で約90%です。エリア別にみても、総じて好調でした。

――一般的には、料金が上昇すると顧客評価は下がる傾向にある。

瀬尾 実は、国内OTA等でのレビュー評価点数も上昇しています。当社にとっては、売上・単価と顧客評価の双方が上がるという、非常に理想的な結果となりました。

当社では、売上や単価だけでなく「お客様評価」を特に重視した経営を行っています。「楽天トラベル」 「じゃらんnet」 では、 総合評価に加えて朝食の評価も全て上昇しました。

――観光・レジャー需要を取り込んだことによる収容人数が増えた影響はあったか。

瀬尾 当社の運営ホテルでは、両親または祖父母と同室の場合、18歳以下の子ども客の添い寝を無料としています。そのため、数値上の同伴係数には大きな変化は出ていませんが、体感として、ファミリー層の観光・レジャー需要をしっかり取り込めていると感じます。添い寝無料をはじめ、子ども向けのサービスに継続して力を入れてきたことが、今の結果に繋がったと思います。

朝食の評価が高いことも、私たちにとって大きな励みになりました。外部機関(J.D.パワージャパン)の調査では、立地以外でベッセルホテルズが選ばれた理由の1位が「朝食の評判」、2位が「コストパフォーマンス」、3位が「口コミの良さ」でした。いずれも、私たちが大切にしてきた価値そのものが選ばれる理由になっており、これまでの取り組みが実を結んだ1年だったと感じています。

 

――各ホテルでは朝食のイベントを定期的に開催している。これは誰が企画しているのか。

瀬尾 本部主導と現場発のアイデアの両方がありますが、近年は特に現場発のケースが増えています。各ホテルでは朝食、フロント、ハウスキーピングをテーマにしたミーティングを定期的に行い、改善点やアイデアを日常的に議論しています。

現場主導の企画はスピード感がありますし、主体的に考え自ら実行する楽しさもあります。あえて現場に裁量を持たせることで、各ホテルの地域性や個性が表現され、それこそが顧客が求めるものだと考えています。

2004年から行ってきた 「カイゼン活動」も同じ考えに基づくものです。現場発のアイデアを提出してもらい、さらなる顧客満足度の向上や業務改善に繋がるヒントが誕生する源泉になっています。

 

(国際ホテル旅館2026年1月20日号から抜粋)