TOP INTERVIEW
経営者に聞く
「食」の強みを生かしたリゾート運営【桜の森ホテル&リゾーツ】
桜の森ホテル&リゾーツ(東京都台東区)は、集団給食事業を手がける東洋食品(東京都台東区)の子会社として2022年に設立、ホテル事業に新規参入した。8月5日には運営1号店として伊豆・今井浜海岸の老舗旅館「今井荘」をリニューアルオープンした。伊豆今井浜温泉今井荘の総支配人、樋口正和氏に聞いた。
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――宿泊事業で活かせる御社ならではの強みとは何か。
樋口 給食事業と宿泊事業には「食」という共通点があり、両事業を手掛けることによって調理人材の相互補完や食材の一括調達等の相乗効果を期待しています。
東洋食品は全国に事業所を展開しており、伊豆エリアにおいても伊東市の学校給食センターの運営を受託しています。給食事業の閑散期である夏休みや週末に宿泊事業がピークを迎えるので、事業活動や人材配置の平準化や最適化も図れると考えています。
――今井荘のサービスも「食」を重視している。
樋口 食事はブッフェスタイルを採用しましたが、時間別の座席入れ替え等を行わず、宿泊客の皆さんは18時から21時までの間ならいつでもディナーをご利用頂けます。営業時間内であれば、滞在時間の制限も設けていません。
ダイニングは食事の提供時間の以外でも、チェックイン時間から23時までの間はドリンクサービスを利用頂けます。レストランの隣にアプローチがある屋外テラスでの滞在を、ドリンクとともに楽しんでいただけます。
――どのような宿泊客層を狙い、滞在体験を提供したいと考えているのか。
樋口 今回のオープンに際して、「スローリゾート」というコンセプトを設けました。時間を気にすることなくゆったりとした滞在体験を志向する国内外の旅行者の皆さんにご利用頂きたいと考えています。オールインクルーシブのサービスを含めてADRは8万円程度を見込んでいます。
スローリゾートの実現に向けて、今井荘での滞在をより楽しんで頂けるよう、周辺の観光スポット等との連携も強化していきます。今井浜と言えば海水浴場のイメージが強いですが、シュノーケリング等のマリンスポーツ、キャニオニング等のアクティビティもあります。
――今後、桜の森ホテル&リゾーツとして出店計画はあるか。
樋口 すでに神奈川県の箱根で2号店の出店計画が進んでいますが、将来的に関東圏を中心に10施設ほどの展開を目指しています。
(国際ホテル旅館2024年8月20日号)