TOP INTERVIEW
経営者に聞く
全室に洗濯乾燥機・電子レンジ・冷凍冷蔵庫を完備【三井ガーデンホテル銀座築地】
三井不動産(東京都中央区)と三井不動産ホテルマネジメント(東京都中央区)は、9月30日、三井ガーデンホテル銀座築地(東京都中央区)を開業した。
客室183室、大浴場、レストラン、リフレッシュスペース等が設けられ、ホテルが求められる価値の多様化が進んでいること等を踏まえて、利用するシーンや想いに合わせて〝少し上質な日常〟が感じられる滞在価値を提供。国内外の多様な滞在ニーズに応える。
三井ガーデンホテルズのブランドタグライン「Stay in the Garden」を軸に、緑溢れるナチュラルな空間とし、館内には木製家具や備品、バイオマス素材のアメニティ、アップサイクルのオブジェ等を採用。客室は、三井ガーデンホテルズとしては初めて洗濯乾燥機、電子レンジ、冷凍冷蔵庫を全室に完備し、キッチン付きで4名定員の客室、街並みを望める客室等、全8タイプを用意する。
地下1階の大浴場は洞窟のような空間で、重厚感のある石積みと地下の岩肌をイメージした壁、丸みのある形状の浴槽、水面を表現する光の演出を特徴とする。洗い場は使い勝手の良さとプライバシーに配慮し、シャワーブースを中心に配置した。最上階14階レストランと1階ロビーカフェはONO GROUP(ディー・ディー・カンパニー、福岡市中央区)が運営。いずれも日中営業も行い、宿泊客以外の利用も受け入れる。
ホテルのサステナブルな運営スタイルについて総支配人の櫻井賢子氏に聞いた。
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――施設全体にサステナブルな概念が取り入れられている。
櫻井 当ホテルは三井ガーデンホテルズの新ブランドタグライン「Stay in the Garden」を発表した2022年11月に計画が始動。このブランドタグラインをどう具現化するか、試行錯誤しながら開業準備を進めてきました。グループホテル初の試みとなることも多く、本部のサポートも得つつ、今も模索を続けながら運営しています。
施設そのもののことで言えば、外構やインテリアに緑を取り入れ、1階ロビーにはシンボルツリーや三井不動産グループが保有する森林の間伐材が使われた家具が配置されています。空間全体で連続性が感じられるよう、客室やその他の館内施設の内装・家具にも木や石といった自然素材が使われ、備品・アメニティも環境負荷が小さい製品を極力採用しています。
また、廃棄物削減に向けた取り組みの一環として、館内スリッパは備品タイプを採用しました。既存の三井ガーデンホテルズでは使い捨てタイプを使用しており、当ホテルでも宿泊客の希望があれば使い捨てタイプを用意しますが、今のところ使い捨てを希望する声はほとんどありません。
――運営面でもサステナブルに配慮している。
櫻井 そのことも、当ホテルの計画において特に重要なミッションの一つでした。当社が運営するグループホテルの事例や課題等を踏まえ、高品質な滞在価値と顧客満足度を維持しながら業務上の負担を抑える、より最適な運営スタイルを検証することも私たちの役割だと捉えています。
例えば、館内にはエレベーター連携されたデリバリーロボットを常備し、宿泊客からの備品リクエスト等に迅速に応えられるようにしています。また、客室のテレビインフォメーションシステムからチェックアウト手続きが行えるサービスの導入、連泊の場合の客室清掃を簡素化するサービスの標準化等も行っています。
――客室全室に洗濯乾燥機や冷凍庫付き冷蔵庫、電子レンジを設置する等、連泊需要に応える機能を備えている。周辺には御社グループの拠点が複数あるが、それぞれの棲み分けは。
櫻井 銀座エリアの当社グループホテル(三井ガーデンホテル銀座プレミア、ミレニアム三井ガーデンホテル東京、ホテルザセレスティン銀座、三井ガーデンホテル銀座五丁目)は、すでにある程度の棲み分けができており、それぞれ異なる客層・宿泊需要を取り込んでいます。当ホテルは計画当初からインバウンドの連泊・中長期滞在を想定しており、販売施策等での調整を行いながら、引き続き当ホテルならではの宿泊需要を取り込んでいきたいと思います。
現段階では、やはり他のグループホテルに比べて2人以上の宿泊、および欧米系インバウンドの需要が強く、外国人客比率は8割ほどで推移しています。宿泊プランの内容を極力シンプルにする等、引き続きインバウンド需要を意識した販売施策を進めています。
実際に宿泊された方たちからのコメントを見ていると、やはり客室機能への評価は非常に良く、日本人・外国人を問わず「客室内に洗濯乾燥機があって良かった」「電子レンジがあって便利に過ごせた」等の声を多数いただいています。
(国際ホテル旅館2024年11月5日号)