TOP INTERVIEW
経営者に聞く

新しい挑戦と宿泊客満足・収益創出・社員還元の循環【アパグループ】
アパホテルネットワークとして765ホテル11万6002室(建築・設計中、海外、FC、アパ直参画ホテルを含む)を展開するアパグループ(東京都港区)。積極的な出店戦略を推し進めつつ、時代のニーズに応じた客室設備・宿泊サービスを取り入れる「1ホテル1イノベーション」を実践する。行動力ある経営に邁進する社長兼CEOの元谷一志氏に聞いた。
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――2023年11月期の連結決算は過去最高の売上高と経常利益を達成見込み。
元谷 現段階(取材日時点)で正確な数値は開示できませんが、概算で連結売上高1900億円、経常利益450億円ほどとなる見通しです。今期・2024年11月期は連結売上高2000億円の達成を目指します。
――宿泊需要の回復が業績を牽引したのか。
元谷 国内客は2019年の8~9割まで戻ってきました。これに加えて、外国人客の宿泊数が増え、かつ高単価で販売できたことが寄与しています。
昨年4月に営業を再開したアパホテル〈新宿歌舞伎町タワー〉の外国人客比率は、4月のとある日において92%でした。内訳は北米26%、欧州28%、アジア23%、オセアニア9%、中南米2%、その他4%で日本は8%。訪日外国人客の裾野の広がりを実感しています。足元では円安と日本の物価上昇率の遅れ等から外国人客に高単価で販売しやすい環境にあり、今後も外的環境の影響を受けつつも、長期的にはインバウンド市場の拡大が続くと見ています。
――宿泊需要の変化は、今後の開発にも影響するか。
元谷 当社が取得・リブランドした物件は、大規模リノベーションや建て替えを検討するケースもあるでしょう。
当社はホテル運営会社であると同時に、ホテルの所有・経営会社、投資会社でもあります。ホテル事業をあらゆる観点から捉えられることを最大の強みとして、不動産のポテンシャルを最大限に引き出す施策を進めていきます。
――社長就任以来、社員との情報共有を重視している。
元谷 私の経営の考え方は、私自身が経営者として三角形の重心に位置し、全方向に向けて旋回することで組織全体に最短最速で熱を伝えること。私の造語ですがTCOG(Triangle Center of Gravity、三角形の重心)経営と呼んでいます。
この経営を実践するために活用しているのが、ビジネスチャットツールのSlackです。現在、全ユーザーが閲覧可能なだけで400以上、閲覧権限付きのものも含めると1000以上のチャンネルがあり、私と社員、または社員同士が頻繁に交流しています。
このSlackを活用した「インタラクティブ会議」も始めました。会議専用の共有チャンネルを立ち上げ、参加者にリアルタイムでコメントを書き込んでもらいます。先日行った支配人会議には300人が参加し、約1000件のコメントが集まりました。
私は、社長の器を大きくしないと会社も大きくならないと考えています。自分の所見や経験ばかりに囚われず、変化に柔軟であるためにも、社員とのインタラクティブな関係構築を今後も続けていきます。
昨年年初には本社オフィスを改装しました。企画・設計を私が行い、自宅よりも快適に過ごせるような空間を意識しています。ホテルは人生のポジティブな面に立ち会う「幸せな仕事」であり、将来の日本経済の成長を支える観光産業の旗艦業界でもあります。その意義や楽しさを社員たちと分け合っていきたいですね。

(国際ホテル旅館2024年1月5日号より抜粋)
