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経営者に聞く

社員のロイヤルティを醸成するエンゲージマネジメント【三井不動産ホテルマネジメント】

社員のロイヤルティを醸成するエンゲージマネジメント【三井不動産ホテルマネジメント】

「三井ガーデンホテルズ」「ザセレスティンホテルズ」「sequence(シークエンス)」の3ブランドを日本全国で展開する、三井不動産ホテルマネジメント(東京都中央区)。昨年は収益の回復が顕著となり、三井ガーデンホテルズは新たなブランディングのもと、多様なシチュエーションの滞在に応えるべく新たな展開を進めている。その原動力となるホテル人材の「エンゲージマネジメント」に力を入れる雀部優社長に聞いた。

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――宿泊客の滞在価値の向上には、スタッフの力が欠かせない。

雀部 人材の確保・育成・定着、どのフェーズも重要ですが、特に「定着」、具体的に会社へのロイヤルティ醸成、モチベーション向上、離職防止といったエンゲージマネジメントを最大の経営課題の一つと捉えています。

具体的な施策として、模擬接客を行いその対応スキルを競う「全力応対コンテスト」、運営やCSの面で特筆すべき成果をおさめた事業所・部門・個人・協力会社を表彰する「MGH AWARD」、社員旅行や食事会等を定期開催する「社員会」、各事業所の取り組みやエピソードをシートにまとめて共有する「電子社内報」等があります。いずれも全社横断で行い、一体感の醸成、多面的な評価、部門・事業所を超えた交流、成功事例の横展開等の狙いがあります。

私が社長に就任してからは、職務改善やサービス向上等に資するアイデアを社長に直接提案する「Voice For the Future」も始めました。

――現場を見る総支配人の視点も変わりそう。

雀部 総支配人からは、現場の良いパフォーマンスに心を配るようになった、これまで以上に現場を注意して見るようになった、等の声が寄せられています。

――社員・スタッフ自身の提案が会社を動かす。

雀部 最前線で接客しているからこそ思うこと・感じることがあるはずです。社長に直談判し、それが顧客満足度向上や職番環境の改善に繋がると認められて採用されれば、アクションを起こした本人にも大きな自信になります。

一つの事業所で始めたプロジェクトが、私の新たな気づきとなった事例もあります。ホテルザセレスティン東京芝(東京都港区)で2020年に始めたクリスマスチャリティイベント「HAPPY SMILE for Christmas」は、障がいのある方が制作したオーナメントを宿泊客に配布し、そのオーナメントに願いごと等を記入、館内のクリスマスツリーに飾ります。翌年には7つのホテルに広がり、昨年は全ホテルで実施することになりました。

この活動が全社に広まった背景として、20代・30代の若手社員が電子社内報でこのイベントを知り「自分たちもやりたい」と声を挙げたことが特筆すべき点です。ミレニアル世代・Z世代は働くことのやりがいに加えて、仕事を通じて社会に貢献しているという実感を味わえる、社会性・公共性に共感するのではないかと思っているところです。

(国際ホテル旅館2024年1月5日号より抜粋)