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経営者に聞く

「無名のホテルを有名にする」再生・リブランドで実績【アジリティマネイジメント】

「無名のホテルを有名にする」再生・リブランドで実績【アジリティマネイジメント】

ホテル・飲食店のコンサルティングや業務委託などを手がけるアジリティマネイジメント(東京都渋谷区)は、国内ホテルの再生・リブランドで多くの実績を持つ。2022年から支援を行っているホテルスクエア富士御殿場(静岡県御殿場市)では、この2年間で売上を2倍、客室稼働率も1.9倍にまで向上させた。代表の増田康二氏にホテル再生のポイントを聞いた。

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――様々なホテル運営会社で経験を重ねた。

増田 大手チェーンが運営する九州のリゾートホテルでキャリアを開始し、その後は各地の旅館・ホテルで、支配人・事業責任者・本部長・役員などを歴任しました。その過程で、オーナーやオペレーターの変更に伴う再生・リブランド、新規施設の立ち上げにも多数携わってきました。

キャリアの転機となったのは2016年の熊本地震です。当時、私は熊本県内の観光施設で総支配人を務めており、施設や設備の一部が損壊しました。

復旧工事が急がれる状況でしたが、当時は工事の人手不足も深刻で、自ら建機操作の講習を受け、可能な範囲は自力で復旧しました。さらに、地元タレントを起用したPR活動なども実施する等、手探りで営業再開に向けた取り組みを進めたところ、メディアにも多く取り上げられ、地元で話題を創ることができました。

この一連の経験が、名もなきホテルや観光施設がいかに集客力を高め、知名度を築くかを学び・実践する貴重な機会となりました。

―― 2021年に独立し、アジリティマネイジメントとしてホテル再生・コンサルティング事業を本格始動した。代表的な事例が「ホテルスクエア富士御殿場」の再生になる。

増田 もともとオーベルジュとして創業し、数回のオーナー・業態変更を経て、現在のオーナーが取得。その後の2022年に再生の依頼を受けました。

富士山を一望できる立地環境を最大限に活かすため、施設の一部は壁を抜いて眺望を確保しました。ただ、それ以外の改装は最小限にとどめ、直近のファッションホテル時代に設置されたジェットバスや防音設備等はそのまま有効活用しています。また、アメニティや消耗品など、宿泊客が直接触れる備品類は全面的に刷新し、ランニングコストの削減と品質の向上を図りました。

――業務面で特に注意したことは。

増田 無名の施設を有名にするためには「クチコミ評価の向上」が有効だと考えます。

ホテルスクエア富士御殿場では、想定される宿泊客層や競合施設のOTA利用状況等を分析した上で、エリアトップを目指し日々の運営管理に取り組みました。現在、その取り組みが功を奏し、楽天トラベルでの総合評価は4.6点前後を維持しています。

―― クチコミ対応で特に心がけていることは。

増田 宿泊客からの投稿には必ず支配人が返信しています。

特に3点以下のレビューには、指摘された課題について「いつまでに改善するか」を明記しています。指摘された内容が改善可能なものであれば、基本的には1カ月以内を目安に対応するようにしています。

また、口コミ評価点が低い宿泊客の再宿泊があった場合は、支配人自らがチェックインを対応し、改善の経過報告などコミュニケーションを行っております。

ホテルの評価は一朝一夕に上がるものではありません。日々の業務を通じて改善点を見出し、着実に対策を講じる――その積み重ねが評価に繋がると考え、現場にもその姿勢と実践を日々伝えるようにしています。

再生を担当するようになった2022年には客室稼働率が48%でしたが、2023年には73%、2024年には92%に伸長しました。売上高も2024年は2022年比で2倍超に伸びました。

――増田さんのコンサルティングの方針は。

増田 3カ月あれば改善は可能です。ホテルは誰が運営するかで確実に売上、マーケット評価は変わります。それでも業績が改善しない場合は私の責任だと考えており、支援先の宿泊施設とは3カ月契約を基本としますが、最終的に長期契約となるケースが多いです。

ホテル・ホスピタリティ業界は大きな変革期にあります。顧客層や収益構造の変化に加え、業務内容や人材のあり方も大きく変わりつつあります。だからこそ、柔軟性を持ち、選択肢を広げていくことがこれからの時代には不可欠です。

 

(国際ホテル旅館2025年6月20日号から抜粋)