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経営者に聞く

マルチブランド戦略 本格始動【HISホテルホールディングス】
HISホテルホールディングス(東京都港区)は、マルチブランド戦略を本格的に推進している。旗艦ブランド「変なホテル」は、上位ブランド「変なホテルプレミア」を拡大し、7月には6ホテルをリブランドオープン。これによりプレミアは計7ホテル体制となった。2017年の1号店開業以来、大都市圏や主要観光地を中心に出店を重ねてきた同社は、マルチブランド戦略を通じて拠点および顧客層のさらなる拡大を図る。専務取締役の清水学氏に聞いた。
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――マルチブランド戦略の狙いは。
清水 当社は会社設立から10周年を迎えました。旗艦ブランドである「変なホテル」は、試行錯誤を重ねながら運営の効率化と快適でエンターテインメント性のある滞在体験の提供を両立させる運営スタイルで、現在は国内19ホテル・海外2ホテルを展開するまでに拡大しました。
当社は「繋がる・快適・先進的・遊び心・生産性」を5つのコアバリューに掲げ、旅の楽しさやビジネスシーンでの利便性を提供してきました。変なホテルは「変わり続けることを約束するホテル」をコンセプトに、時代や宿泊ニーズの変化、地域の特性に合わせて柔軟に変化し続けてきました。今回のマルチブランド化もその延長線上にあり、従来のミッドプライス(中価格帯)ブランドに加え、アップスケールの上位ラインを導入することで、より高品質な滞在を求める層を取り込み、顧客層と収益性の拡大を図ります。
さらに、エコノミーブランドの新設に向けて準備を進めているほか、将来的にはラグジュアリー領域への進出も視野に入れています。昨年11月に当社グループの現地法人がトルコ・カッパドキアでマリオットホテルを開業しましたが、グループを象徴するラグジュアリーホテルを自社ブランドで創出したいと考えています。
――1号店の開業当時は、ロボティクスをはじめとする最先端技術やIoTを活用した斬新な運営が注目された。こうした技術の導入が業界全体で進みつつある中、「変なホテル」はどう差別化を図るのか。
清水 誕生当初は「恐竜ロボットがフロントで接客する」ことが注目されましたが、こうした取り組みは単なる効率化の追求ではなく「滞在体験をエンターテインメントとして楽しんでもらう」という狙いがありました。この精神は今も受け継がれ、当社のコアバリューとして生きています。
一例として、現在、全国で70種類以上のコンテンツと連携した「コラボレーションルーム」があります。コラボレーションのパートナーはご当地キャラクターやアニメ、航空会社、食品メーカー等、多岐にわたります。ホテル集客のきっかけとなるだけでなく、提携企業にとってもブランディングの機会として、双方にメリットをもたらしています。
――今後の出店方針については。
清水 「変なホテル」は大都市圏や主要観光都市に加えて、中核都市での展開も進めています。訪日インバウンド需要が地方都市へも波及する中、今後の出店余地は大きいと捉えています。新築だけでなく、既存施設の再生・リブランドにも積極的に対応したいと思います。
また、当社は「変なホテル」だけでなく、リゾートブランドの「ウォーターマークホテル」や、「満天ノ辻のや」等の既存ホテル・旅館の再生、外部企業と共に地方創生事業に参画した「ヴィソンホテルズ」等、多様な実績があり、必要に応じて外部ブランドも活用する柔軟性を備えています。
HISグループのホテル事業は1998年に豪州ゴールドコーストに開業した「ウォーターマークホテル」に始まります。2010年のハウステンボス再生が転機となり、効率的かつ収益性の高いホテル運営を追求。2015年にハウステンボスに「変なホテル」が誕生し、翌年にはホテル事業会社を設立。舞浜を皮切りに全国展開を加速しました。
今後も多様な都市・エリアでの展開に加えて、ラグジュアリー領域への挑戦を含むマルチブランド戦略を推進して事業を拡大し、ホテル事業を次のステージへ進めたいと考えています。

(国際ホテル旅館2025年10月5日号から抜粋)
