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経営者に聞く

個性を活かしつつホスピタリティを表現【東急ホテルズ&リゾーツ取締役社長 武井隆氏】

個性を活かしつつホスピタリティを表現【東急ホテルズ&リゾーツ取締役社長 武井隆氏】

――昨年の振り返りは。

武井 2026年3月期の途中ではありますが、現段階では2023年度以降の「コロナ・リベンジ需要」の勢いがそのまま続いており、想定以上に好調な一年だったと言えます。今年度も前年度の過去最高益を上回る着地が見えていると認識しています。

――宿泊業界の中では、中国市場の減速に対する懸念も聞かれる。

武井 中国のシェアが大きいこと自体は事実ですが、今はオンライン予約によるFIT(個人旅行) が主流であり、当社における影響はごく軽微なものです。

現在の好調をインバウンドが支えていることは間違いありません。コロナ・リベンジ需要は2024年度で収束したというのが世界的な共通認識ですが、「日本だけは別」だと言われているようです。円安為替によって渡航先として選ばれやすい面もありますが、訪日旅行の人気は依然として高いと感じます。

――都市から地方の波及も指摘されている。

武井 その通りです。一方で、東京はゲートウェイとして訪日旅行者が必ず訪れる都市となっており、日本の出入口としての役割は継続しているので旅のHUBホテルとしての機能が重要となります。

 

――運営・サービス面では、どのような工夫をしたか。

武井 「訪れる理由がある」ホテルづくりを推進してきました。

2023年4月、東急グループのホテル・リゾート事業子会社の再編等に伴い、新生の東急ホテルズ&リゾーツが誕生しました。その際、ブランドラインナップも再編・拡充し、従来の東急ブランドに加え、新たなブランド群「DISTINCTIVE SELECTION(ディスティンクティブセレクション) 」を新設しました。

このカテゴリには、新宿の東急歌舞伎町タワーにあるラグジュアリーホテルの「BELLUSTAR TOKYO,A Pan Pacific Hotel」と「HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL HOTEL」 、渋谷の既存ホテルのリブランドと札幌に新規開業したライフスタイルホテル「STREAM HOTEL」、2024年に沖縄・瀬長島に開業したホテルコンドミニアム「STORYLINE」等が属しています。

いずれも、建物や館内の空間デザイン、提供するサービスの全てに強い個性や特徴を持たせ、あえて東急の名称を前面に出さず、より柔軟な発想でユニークな滞在体験の提供を追求しています。

――人材が担うべき役割も大きくなりそうだ。

武井 ディスティンクティブセレクションの運営には、各ホテルのコンセプトを体感できるようなサービスの提供が重要になります。スタッフ一人ひとりが試行錯誤しながら、提供に挑戦しています。

一例として、ライフスタイルホテルの「STREAM HOTEL」は、従来の東急ホテルズが規定していたスタッフの髪色や服装等について、より自由度を高めています。身だしなみで一人ひとりの個性を活かしつつ、ホテルにふさわしいホスピタリティを表現できるかどうかが問われますが、これが成功するとターゲットとの距離が縮まり、満足度向上にもつながると考えています。

新しく誕生したホテルには、従来ブランドから志願して異動したスタッフも多くいます。この活発な人材交流が相乗効果を生み、従来ホテルブランドにおいても、顧客との距離感やコミュニケーション、サービス提供のブラッシュアップにつながると考えています。

 

(国際ホテル旅館2026年1月20日号から抜粋)