TOP INTERVIEW
経営者に聞く

宿泊業界に特化したM&A・不動産売買プラットフォーム始動【Nowhere Group】
宿泊施設の企画・運営、管理等を手掛けるNowhere Group(東京都中野区)は、6月、宿泊業界に特化したM&A・不動産売買プラットフォーム「INVESTEL(インベステル)」を始動した。民泊・旅館・ホテル・グランピングなどの宿泊施設について、売り手と買い手を繋ぎ、安心かつ円滑な事業承継や物件売買を促すマッチングサービスを提供する。INVESTEL立ち上げの狙いや背景等について、取締役副社長兼COOの中村昌平氏に聞いた。
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INVESTELは、民泊や旅館・ホテル、グランピング施設など、多様な宿泊物件を網羅し、売買および事業承継を支援する。プラットフォームは誰でも閲覧可能で、情報は一部を除きオープン。想定利回りやライセンスの種類等、宿泊事業ならではの情報も掲載する。
売り手が直接情報提供する場合は無料で掲載でき、仲介会社による情報提供の場合は掲載料が発生する。買い手の取得価格の一部を手数料として受け取るほか、M&Aによる事業譲渡を含む場合も仲介手数料が発生する。同社が培った宿泊事業の実績を活かし、ファイナンシャルアドバイザーや弁護士など専門家のサポートを得ながら、許認可手続きや各種書類の作成、施設運営および引き継ぎの支援など、ワンストップで対応する。
同社は2019年に設立。宿泊施設の仕入れ・企画・設計&デザイン・運営・清掃までを一貫して手掛ける宿泊プロデュース事業を展開し、全国25カ所の小規模宿泊施設や民泊施設を運営している。今春にはAirbnb日本法人の「Airbnb Partners(エアビーアンドビー・パートナーズ)」のSupply Partnersに正式参画した。
この事業を通じて各地の宿泊施設の経営者やオーナーとの交流が生まれたことが、インベステル立ち上げのきっかけとなった。2024年8月から一部のパートナー企業およびオーナーに限定してサービスを開始したところ、多くの購入・売却希望の相談を受けた。6月から正式にサービスを始動し、同月時点で売り手相談数は200件超、買い手は2000件超にのぼる。
中村氏は「後継者不在や人手不足、建物・設備の老朽化、取引金融機関との融資交渉の不調等、宿泊事業の継続をめぐる様々な課題が見えてきた。一方で、訪日外国人旅行者の増加や地方創生の動き等を背景に、宿泊事業の新規参入または拡大を考えるニーズも顕在化している。この両者のマッチング機会を創出し、宿泊施設の流通市場を創り出すことで、宿泊経営に新たな選択肢を持たせることがインベステルの役割と考える」と語る。
「一般的な不動産M&Aは、不動産そのものの価値だけで資産を評価するが、宿泊施設は事業や運営も資産評価の対象となりうる。また、投資判断に必要な情報の不透明さ、宿泊業特有の構造への理解不足などが、売却・購入の双方にとって適切な出会いを生みにくく、取引の阻害要因になっていた。宿泊施設は地域経済において重要な役割を担っていることも多く、新しいパートナー企業またはオーナーと連携して所有・経営・運営を分離させる等して新たな組織体制を確立することが、事業継続に向けた選択肢を増やし、継続を後押しすることになる」と中村氏。
今後は観光業再生ファンドや地方金融機関、海外投資家との連携、多言語対応、AI活用によるマッチング機能の強化などを進め、地域創生と持続可能な観光経済の実現を目指す。単なる物件取引の場にとどまらず、宿泊施設を地域再生のハブとして活用する取り組みも展開していく。

(国際ホテル旅館2025年7月20日号)
