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経営者に聞く

新規事業が続々と始動 新しい滞在体験の提供へ【ロイヤルホールディングス/アールエヌティーホテルズ】
ロイヤルホールディングス(福岡市博多区)は、グループの中期経営計画に基づき、ホテル事業は「収益基盤・更なる成長」をミッションキーワードに、既存ブランド「リッチモンドホテル」への価値向上投資を進めるとともに、1月28日に発表したMinor Hotels(マイナーホテルズ)との提携によるラグジュアリーホテル市場への参入、さらに、今回開業したTHE BASEMENTの展開などを通じて、ビジネス・レジャーにとどまらず、幅広い宿泊ニーズに応える多様な体験価値を提供。地域や社会と連携しながら持続的に成長するホテルグループの実現を目指すとしている。ロイヤルホールディングス執行役員ホテル事業担当、アールエヌティーホテルズおよびロイヤルマイナーホテルズ代表取締役社長の本山浩平氏に聞いた。
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――ロイヤルマイナーホテルズの新規事業が、アールエヌティーホテルズ(東京都世田谷区)が展開してきた既存事業のリッチモンドホテルズと共存する意義、または相乗効果についてどのような期待を持っているか。
本山 ロイヤルマイナーホテルズが加わることで、ロイヤルグループとしてより幅広い利用シーンに対応するホテル展開が可能になると考えています。
近年、インバウンド需要の増加などに伴い、宿泊施設に求められるニーズが多様化していると感じます。今回の提携によって、マイナーホテルズのブランドのうち、「Anantara(アナンタラ)」「Avani(アヴァニ)」「Tivoli(チボリ)」の3つを日本市場に展開することで、当社として宿泊機会の提供範囲がこれまで以上に広がることを期待しています。
リッチモンドホテルブランドの価値向上に繋がる相乗効果も期待しています。ロイヤルホールディングスの「経営ビジョン2035」において、「上質な時間と空間を提供し、グローバルに成長する食とホスピタリティグループ」を目指す方針を掲げており、ホテル事業においてもその価値を重視しています。ラグジュアリーホテル/リゾートを世界展開するマイナーホテルズと共同で事業を進めることで得られる知見や経験は、リッチモンドホテルにも大きくプラスに働くと考えています。
――マイナーホテルズとの取り組みは、新しい顧客の開拓に繋げるのか、それとも現在リッチモンドホテルを利用している既存顧客に新しい滞在体験を提供し、満足度向上に繋げるのか。
本山 いずれも想定しています。特に後者は、既存顧客に紹介できるブランドが増えることになります。また、リッチモンドホテルとは単純な上下関係ではなく、上質な体験価値を新たに提供する、ということをイメージしています。
――アールエヌティーホテルズに所属しているスタッフが、ロイヤルマイナーホテルズが展開するホテルのオペレーターとして異動する可能性はあるのか。または別の人材を配置する形になるのか。
本山 現時点では、主たる業務を担う人材としてアールエヌティーホテルズのスタッフが多く移籍するという形は想定しておりません。ロイヤルマイナーホテルズとして新たに雇用を進めていく予定です。
ただし、人材の交流が全く無いわけではなく、相互に知見を共有しながら人事交流を深めていくことは考えています。そのため、アールエヌティーホテルズの人材もこの事業に関わる機会を積極的に設けていきたいと考えています。
――現在、リッチモンドホテルは既存ホテルの客室やレストランの改装、サービス内容の変更など、サービス品質の向上に力を入れている。リッチモンドホテルの今後の新規出店やリニューアルについて、どのような方針や計画を進めていくのか。
本山 まず、サービスの品質向上については今後も継続的に取り組んでいきます。特に人的サービスの価値向上、館内施設の価値を高める改装、朝食提供のブラッシュアップに力を入れていきます。今期もレストランの改装と朝食メニューの見直しなどを計画しています。
出店計画については、現在、FCを含め47店舗を展開するナショナルチェーンとして、安心感を提供できる宿泊機会をより多くの地域で展開していきたいと考えています。これまでは大都市を中心に展開してきましたが、今後は中核都市や地方都市など、宿泊需要が見込める地域への出店を進める方針です。
――ビジネス需要だけにとどまらない。
本山 はい、観光需要も含めて想定しています。インバウンド市場の拡大に伴い、地方への波及が進むことを見据えて、ナショナルチェーンとしての信頼と安心感を提供できるホテル展開を進めていきたいと考えています。地域に密着しながら「選ばれるホテル」としてのあり方を模索し、地方都市にもリッチモンドホテルのホスピタリティとサービスを展開していきたいと考えています。
――リッチモンドホテルのブランドの独自性の一つに「食の体験」がある。今回の出店計画においても、料飲部門は基本的に直営で展開される前提か。
本山 はい。グループ内運営も含めて、今後も直営で展開していく予定です。
――ロイヤルホールディングスの長期経営ビジョンでは、リッチモンドホテルに限らず、全事業で出店地域との関わりを深めることを重視するとしている。これをホテル事業ではどのように表現していくのか。
本山 我々は、ホテルという事業の特性上、地域と宿泊客を繋ぐ役割を担っていると考えています。単なる宿泊機能の提供にとどまらず、宿泊客がその土地の魅力を感じられるような取り組みを進めます。
近年の館内改装でも、このことを意識して取り組んできました。共用部の設えや一部客室に、地元の建材や文化・風土を感じられるデザイン・モチーフを取り入れるなど、その地域の特色を感じられるような工夫を凝らしています。
また、ハードの部分だけでなく、あわせてソフトの部分での取り組みも重要だと考えています。そうした空間の意味や狙いを、私たちが宿泊客にどのように伝えていくかという点において、地域に対する深い理解が必要となるからです。
2023年7月にリニューアルオープンしたリッチモンドホテル青森(青森県青森市)は、ロビーに伝統工芸品を集め、体感できる空間などを設けました。さらに、在籍スタッフ全員が「青森県りんご検定」の超上級編に合格しました。この資格は、500問の設問全てに正解しなければならない難易度の高い試験を受けるものですが、この知識を活かして青森の魅力をしっかり伝えられるよう、日々接客にあたっています。この取り組みが評価され、昨年10月、当ホテルは「りんごマイスターホテル」として公式認定されました。
宿泊客の滞在目的も多様化している流れを踏まえて、地域の魅力を伝える〝拠点〟のような役割が求められていると感じており、その土地ならではの文化や名産を紹介できるようなホテルづくりを進めていきたいと考えております。
とはいえ、これまでリッチモンドホテルが培ってきたサービスやホスピタリティへのこだわりが変わることはありません。新ブランドとの提携や新規出店の展開は、当社のホテル事業が大切にしてきた理念の延長線上にあり、その理念をさらに強化するためのものです。
ハードの新しさ・美しさなどは一時的な優位性に過ぎず、真にブランドの競争力を高める鍵は、ソフトに加えて〝ヒューマン〟によるホスピタリティにこそあると考えています。ハード面を整備しつつ、その上でいかに価値を加えられるかを、今後、特に大切にしたいと考えています。
(国際ホテル旅館2025年4月20日号)
