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経営者に聞く

相次ぐ外資の出店計画 観光市場の拡大に期待【ホテル日航奈良】
2005年7月1日に開業したホテル日航奈良(奈良県奈良市)は、今年、開業20周年の節目を迎えた。JR奈良駅に直結し、興福寺や奈良公園といった観光スポットにもアクセスしやすい好立地にあり、奈良最大級のフルサービスホテルとして、多くの旅行者や地元在住者に親しまれている。外資ブランドホテルの出店が相次ぎ、観光目的の宿泊需要のさらなる喚起が期待される中、今年1月1日付で総支配人に就任した兼貞孝行氏に、同ホテルの強みを活かした取り組みを聞いた。
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――ホテル業界でのキャリアはホテル日航大阪から始まった。
兼貞 就職を考えていた当時、仕事を通じて英語力を伸ばせそうだという理由からホテル業界に関心を持ち、地元のホテル日航大阪に入社しました。
はじめに配属されたのが2階のコーヒーショップで、サービス業務を基本から叩き込まれました。ここでスキルを磨き、極める手応えを感じられたことや、常連の顧客に顔と名前を憶えて頂き「ご贔屓にして下さる」ことの喜びを知ったことは、その後のキャリアにおいて大きな財産となりました。
――その後、ホテル日航ベイサイド大阪(当時)に異動した。
兼貞 2002年の開業に合わせて、スカイレストラン「トップオブハリウッド」のマネージャーとして着任しました。
ホテルの利用客層は近隣テーマパークを訪れる旅行者が中心で、日航大阪との違いに戸惑うこともありましたが、どちらのホテルも顧客満足の追求を基本に考える点では共通しており、試行錯誤を重ねながら新規立ち上げに携わった経験は自分にとって大きな糧となりました。
――その後、JALホテルズおよびオークラニッコーホテルマネジメントの本部でグループホテルの運営支援に携わった。
兼貞 グループホテルのサポートや、各ホテルへのマネジメント職としての出向を経験しました。現場とは違った視点から運営に関わることで視野が広がりました。
――ホテル日航奈良はどのような特徴を備えているか。
兼貞 1998年に別ブランドのホテルとして開業し、2005年7月にホテル日航奈良としてリブランドオープン。今年で開業20周年の節目を迎えました。客室数330室、1000㎡の大宴会場を含む宴会・会議施設等を擁し、奈良県内で最大級の規模を誇り、多様な利用ニーズに応えてきました。
――奈良エリアは日帰り観光が主流で、宿泊需要の取り込みが長年の課題となっている。
兼貞 大阪および京都から1時間程度でアクセスできる利便性が、かえって宿泊ニーズを取り込みにくい要因になっていました。
しかし、2020年にJWマリオット・ホテル奈良が開業したのを皮切りに、外資系ブランドホテルの進出計画が続いています。このことは、奈良の観光地としての潜在力を示すものであり、こうした動きが奈良観光全体のマーケット拡大に繋がると期待しています。
私たちも奈良の魅力を改めて発信し、幅広い観光需要を取り込みたいと考えています。
――具体的には。
兼貞 奈良県内には、日本の歴史や文化に触れられる魅力的なスポットが各所に点在しています。この資源を十分に楽しむためには、1泊よりも2泊以上の連泊滞在が理想です。そのための宿泊プランやアクティビティの造成、ホテルを拠点としたモデルコースの提案等を行い、滞在型ホテルとしての発信に努めていきたいと考えています。
墨・筆やうちわなど、奈良を発祥とする伝統工芸を体験できるプランを用意するなど、奈良の歴史や文化に触れる機会の提供にも力を注いでいます。地域の文化や風土を感じられる滞在体験を通じて、奈良の魅力を発信することは、ホテルが果たすべき重要な役割の一つであると考えています。
外資系ブランドをはじめとするホテルの進出計画は、奈良の観光マーケット全体に好影響をもたらすことが期待される反面、私たちにとっては競合施設の増加という大きな試練にも繋がります。こうした将来の競争環境を見据えて、当ホテルでは6月にプロジェクトチームを立ち上げ、より質の高いおもてなしとサービスの提供を目指した活動を行い、さらなる価値向上に取り組んでまいります。
(国際ホテル旅館2025年9月20日号から抜粋)
