TOP INTERVIEW
経営者に聞く

新生「東横INN」 ブランディングのもとで改革【東横イン】
本紙調査「全国ホテルチェーン客室数ランキング」で第一位の7万1309室(2024年1月1日現在)と、同一ブランドとしては日本最大の客室規模を誇る「東横INN」を運営する東横イン(東京都大田区)。2022年7月にリブランディングを行い、新しいブランドコンセプト「全国ネットワークの基地ホテル」のもと、運営面での様々な改革を推し進めている。このリブランディングを機に現場社員が全社プロジェクトに参画する機会が増え、代表執行役社長の黒田麻衣子氏は「会社と社員の距離が近づいてきた」と手応えを語る。
**************************
――なぜリブランディングを行ったのか。
黒田 全国に出店し、単一ブランドとして日本最大級の客室数を持つ東横INNとして、どこでも・いつでも明日の出発に備えて安心してリチャージできる場を提供し、ビジネス・プライベートを問わずあらゆる旅行者の移動を応援したい、という思いを込めました。
――なぜリブランディングを行ったのか。
黒田 コロナ禍の影響を受け、当社は2021年3月期に創業以来初の赤字を経験しました。苦境をどう乗り越えればよいか、必死にもがく中で「今のままではいけない」「自分たちが変わらなければならない」という思いを強くし、それがリブランディングの構想に繋がりました。1年ほど社内で議論を重ね、2022年3月に先行して社員に発表しました。
東横INNはビジネスホテルのパイオニアとして、宿泊客に圧倒的な安心感を提供できると自負しています。ただ、その過程でかつてのパイオニア精神が置き去りになっていたかもしれない、安心とともに新しさも感じられるようにすべきではないかと反省しました。
宿泊需要も変化しています。ビジネスホテルは基本的にホテルそのものが目的地になることが少なく、ホテルの近くにある目的地を訪れるために宿泊します。これまではビジネス客が旅先で活躍する宿泊客がゆっくりと寛げる休息の場所を提供するという考え方から「おかえりなさいませ」という声掛けを重視してきました。
今は観光・レジャー、イベント参加等のプライベート旅行者も増えています。この方たちには、翌日の朝に元気に出発して頂くという視点も大事になります。リブランディングを機に、これまでの強みを活かしながら時代のニーズに合わせて進化できるよう、試行錯誤を続けます。
(国際ホテル旅館2024年1月5日号から抜粋)