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経営者に聞く

「ウィズコロナ」のホテル経営【Aカードホテルシステム】

「ウィズコロナ」のホテル経営【Aカードホテルシステム】

全国400以上のネットワークをもつAカードホテルシステム(東京都千代田区)は、加盟ホテルから経営相談が相次いで寄せられている。「ウィズコロナ」の下で中小ホテルはどのような対応をすべきか。代表取締役の内藤信也氏は「コロナ禍でダメージを受けているホテルは都心部が多い。一方、例えば米子や白川などは以前とさほど変わらない。稼働が安定しているホテルに共通しているのは、地方エリアで、もともと安定したビジネス需要があったことです」と語る。

「ここ数年、業界ではインバウンド獲得に躍起になっていたが、総宿泊者数に占める割合は2割程度。国内需要の取り込みを重視しなくては、今回のような事態に陥ってしまう」(内藤氏)。

目下、もともと財務体質が悪くて充分な設備投資ができていない宿泊施設を経営する企業や、新築物件を多く経営していても、高い賃料もしくは高い建築コストに 伴う過大な借入を行っている企業が経営危機を迎えている。内藤氏は「コロナ禍が引き金となったことは間違いないが、ここ数年、景気後退の懸念サインがでていることは明らか。国内ホテル市場は市場事態は成⾧していたが、実は1客室あたりの売上は過去18年間成⾧していませんでした」と振り返る。

「不動産の側面からみると、オーナーは利益率の高い宿泊特化型ホテルばかり開発してきました。ホテル不動産取引価格も非常に割高で、そもそもゼロ金利のため利回りが5%程度と低い。この利回りは、リーマンショック前を超える低水準でした。従って、今後コロナ禍が収束しても、これから本格的な景気後退局面に入るのではないでしょうか」(内藤氏)。