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経営者に聞く

世界一のホスピタリティを体験できる場へ「HOTEL THE SEN. 中禅寺湖」 【ARI代表取締役 小林千花氏】

世界一のホスピタリティを体験できる場へ「HOTEL THE SEN. 中禅寺湖」 【ARI代表取締役 小林千花氏】

名門ホテル「丸ノ内ホテル」の創業家に生まれ、2022年からコンパクトホテル「ファーストキャビン」の運営会社で取締役および代表取締役社長を歴任し、ブランドの再構築やオペレーション改善を成功に導いた小林千花氏。同社社長退任後の昨年9月、新会社のARI(東京都港区)を設立し、第 一 弾プロジェクトとして栃木県日光市・中禅寺湖畔にスモールラグジ ュアリーホテル「HOTEL THE SEN. 中禅寺湖」の開発に向けて準備を進めている。2029年春の開業を目指すプロジ ェクトと、ホテル経営・運営への挑戦について小林氏に聞いた。

 

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――現在計画を進めているホテルの詳細は。

小林 中禅寺湖の湖畔に客室数8室のスモールラグジュアリーホテルを建設します。客室は全室100㎡以上の広さを確保し、「禅」をコンセプトに据え、静謐さと湖の自然とが調和した滞在体験と世界一のホスピタリティの実現を構想しています。

5年ほど前から候補地を探しており、地域の方たちと情報交換を重ね、昨年、縁あって既存物件を再開発する形で国立公園内の土地をお借りし、建物を取得することができました。現在は解体・新築工事の計画を進め、2029年4月のグランドオープンを目指して準備を進めています。

 

――どのような滞在体験の提供をイメージしているか。

小林 国内外の富裕層をターゲットに据え、審査制の会員制度を一部導入する予定です。会員顧客に対しては、事前の情報と長期的な関係性を土台に、世界一のホスピタリティ体験を創り続け、定期的に利用される定宿を目指します。また、会員同士を結び付けるコミュニティの運営等、ホテルを単なる宿泊施設としてではなく、顧客と地域、人と人とをつなぐ「舞台」として位置づける予定です。

「Time Luxury」をコンセプトにホテルで過ごす時間の中で刻まれる記憶、心に深く残り続ける体験にフォーカスし、滞在時間の〝質〟を高めることを追求したいと考えています。

 

――なぜ中禅寺湖を選んだのか。

小林 丸ノ内ホテルを創業した私の曽祖父は栃木県の出身で、わが家では家族旅行といえば中禅寺湖が定番でした。私自身、幼い頃からこの地の自然や空気感が大好きで、10歳の時には「ここ(中禅寺湖)にホテルをつくりたい」と家族に宣言していました。

中禅寺湖は明治時代以降、海外諸国の大使や外国要人のための別荘が相次いで造られ、富裕層の避暑地として発展した歴史を有します。当時は「夏は外務省が日光に移る」と言われたほど、国際的な社交の場として親しまれました。

戦後も日光エリアを代表するスポットの一つとして賑わいましたが、近年は時代の変化やレジャーの多様化等を背景に観光需要が伸び悩み、地域人口の減少も進む等、自治体としての持続可能性が課題となっています。

子どもの頃から魅了されてきた中禅寺湖の歴史や趣を受け継ぎつつ、世界中の旅行者が訪れるレイクリゾートとして再び輝くきっかけを創りたい、という思いが、今回のプロジェクトを立ち上げた背景にあります。

 

(国際ホテル旅館2026年3月20日号から抜粋)