TOP INTERVIEW
経営者に聞く

各地でホテル開発 事業を通じて地域に貢献【スーパーホテル専務取締役 東京本部開発企画部本部長 片岡巌雄氏】
国内178店舗・海外2店舗を運営するスーパーホテル(大阪市西区)。3月にはスーパーホテル長崎・諫早天然温泉(長崎県諫早市)やスーパーホテルハノイ(ベトナムハノイ)を新規開業する等、国内外で着実に拠点拡大を進めている。顧客満足度の高さにも定評がある同社の開発戦略について、片岡巌雄氏に聞いた。
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――宿泊施設の開発において、どのような地域・ロケーションを想定しているのか。
片岡 製造品出荷額の大きい地域を「工業立地エリア」として選定し、出店に力を入れています。こうしたエリアでは、工場を定期的に訪問する人や一定期間滞在する人等の出張需要が見込めるため、長期的に安定した宿泊需要が期待できると考えています。
特に注目しているのは、政府が公的支援を表明している半導体関連産業です。熊本県菊陽町のTSMC、北海道千歳市のラピダス、岩手県北上市のキオクシア岩手、広島県東広島市のマイクロン・テクノロジー等、関連企業による工場建設の動きに合わせ、当社も全国7カ所でホテル開発を計画してきました。このうち、すでに1ホテルが開業し、残る6ホテルについても建設を進めています。
また、インバウンドを含む観光客数や旅行消費額の拡大している一方で、観光地では既存の旅館・ホテルの廃業による客室数の減少も懸念されています。こうした状況を踏まえ、観光とビジネスの双方の宿泊需要が期待できる地域を「ハイブリッドマーケット」と位置付け、これに対応したハードとソフトを備えたホテルを企画・開発する「ライフスタイルホテルプロジェクト」を立ち上げました。
具体的には島根県出雲市、三重県伊勢市、広島県尾道市等のエリアをターゲットとしています。
――開発方法は。
片岡 当社が戦略的に出店するエリアでは、土地・建物を当社が取得・保有したり、当社が土地を賃借して建物を建築・保有したりするケースもありますが、主流はオーナーが建設した建物を当社が20年~30年間賃借する「建て貸し方式」です。
ただ、ここ数年は建築コストの高騰が著しく、投資利回りが当社の想定と合わなくなっています。原則として、ホテルは容積対象床面積が1000坪以上、客室150室以上の規模で開発を想定しますが、10年前は建設費が坪単価80万~85万円程度、総投資額として10億円程度を見込んでいたところ、現在は坪140万~150万円とほぼ倍増しています。
こうした背景から、近年は「フランチャイズ方式」による開発にも力を入れています。オーナーがFCパートナーとして建物の開発・運営を行い、当社はフランチャイザーとしてブランドや予約システム、ホテル運営ノウハウを提供する形です。FC方式では、銀行への元利金返済、建物固定資産税、当社へのロイヤリティ支払いを差し引いた後でも、年間で概ね4000万円から5000万円以上の余剰金が見込めるマーケットへの展開を想定しています。
現在、FC店舗は31棟あり、このうち宿泊業の経験があるFCパートナーは2棟のみ。他の29棟は未経験からの参入です。2棟目・3棟目を運営しているFCパートナーもいて、途中で撤退したケースはありません。
――FCパートナーはどのような属性か。
片岡 かなり幅広いです。卸売業やパチンコ店、小売店等の事業者が新規事業としてホテル事業に参入するケースもあれば、いわゆる「地元の名士」とされる方がFCパートナーになるケースもあります。実は、2棟目の運営に乗り出したのは後者のケースになります。
直営でもFCでも、出店候補地の立地診断の基準は大きく変わりません。周辺の環境や人の流れ、競合ホテルの出店状況等を総合的に判断しています。
(国際ホテル旅館2026年5月5日号から抜粋)
