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経営者に聞く

国内客との接点増える 再来館の機会創出へ【パレスホテル】

国内客との接点増える 再来館の機会創出へ【パレスホテル】

1961年(昭和36)、東京・丸の内に開業した「パレスホテル」。約50年の時を経て、建て替え工事による新生「パレスホテル東京」が2012年5月17日に開業した。

今年2022年は開業10周年の節目となるが、厳しい事業環境下で迎えることとなった。パレスホテル(東京都千代田区)代表取締役社長の吉原大介氏は「日本発の世界に通用するラグジュアリーホテルを目指して、訪日外国人客の取り込みに力を入れ、2019年には当ホテルの宿泊客の7割が外国人客となりました。コロナ禍で、その需要は一気に無くなってしまいました」と振り返る。

一方で、国内の旅行者がホテルを体験・利用する機会が増えた。特に2020年のGoToトラベルは、より幅広い層にホテルを知ってもらうきっかけになったと評価している。この機会にホテルの魅力を知り、体験した人たちが「またパレスホテル東京を訪れたい」「再び利用したい」と思えるような取り組みを進める。

「昨年(2021年)11月にパレスホテルグループの会員制度を刷新、新たにTHE PALACE CLUBを始動しました。館内施設やオンラインショップなどの利用額に応じてポイントが貯まり、貯まったポイントはホテル券に交換できます。獲得ポイント数に応じて付与率が上昇するなど、当ホテルにより愛着を持って下さる方にメリットのある仕組みとしました。また、近年はワーケーションやステイケーションなどの需要が高まっています。これを踏まえて、2月に新たなスイート『プレミアスイート』6室を新設します。暮らすように滞在するホテルライフを楽しめるようなインテリアデザインや機能を備えます」(吉原氏)。

また、「本質的に交流の文化や直接顔を合わせる価値が無くなることはない」(吉原氏)として、今年2022年は宴会場の改装も予定している。

同社は2020年6月、大阪・堂島浜に宿泊主体型ホテル「Zentis Osaka(ゼンティス大阪)」を開業。パレスホテルやゼンティスブランドの今後の新規出店の可能性について、吉原氏は「いずれも条件が揃えば、新たな展開をしたい。出店軒数などの数値目標を設定しているわけではないが、各ブランドを実現できる案件があれば、積極的に検討します。パレスホテル東京は「美しい国の、美しい一日がある。」をブランドコンセプトに、世界に通用する日系ラグジュアリーブランドとして、都市や街のランドマークホテルとなることを目指しています」と語る。