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経営者に聞く

新客室「MiN Suite(ミン・スイート)」誕生【松本ホテル花月専務取締役 松岡一成氏】
松本ホテル花月(長野県松本市)は今春、新客室「MiN Suite(ミン・スイート) 」を新設する。
来年の創業140周年に向けた記念事業の第一弾として実施するもので、思想家の柳宗悦が提唱し、生誕100年の節目を迎えた「民藝」の精神を再解釈し、現代の宿泊体験として表現する。
室内には松本の民芸家具や染色家・柚木沙弥郎氏の作品等を取り入れるほか、ホテルの旧パンフレットデザイン、レストランに用いられているモザイクタイル等、受け継いできた意匠を生かしつつ、引き算の美と静けさを追求。過剰な装飾を排し、素材や光、手触りに向き合う設えとした。
専務取締役の松岡一成氏は 「〝民藝〟の考え方は、松本ホテル花月が長年受け継いできたもの。創業140周年を前に、これまでの歴史を振り返るだけでなく、これからの時代にどう在り続けるかを示す起点としたい」と語る。
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――MiN Suiteのポイントや見どころは。
松岡 単に上質な滞在体験を提供するための改装ではなく、〝民藝〟とは何かを、言葉ではなく体験として感じて頂くための空間であり、柳宗悦が見出した「日常の中に宿る美」という考え方を、泊まるという行為の中で味わって頂きたいと考えています。
建物がもともと持つ表情を尊重し、松本民芸家具や自然素材と調和させることで、空間全体に静かな奥行きを生み出しました。旧館ならではの梁が見える天井や、建物の屋根に沿って斜めに設えられた壁等、既存の建築的特徴をあえて活かしながら改修を行いました。
客室からは国宝・松本城を望むことができる点も見どころで、城下町としての歴史と現在の時間が重なる滞在体験を提供します。国内旅行者には改めて松本と民藝のつながりを、外国人旅行者には日本の手仕事文化の奥行きを感じて頂き、土地の文化や空間の質感を深く味わう滞在体験を提供したいと考えています。
――今後の予定は。
松岡 改装工事は3月中旬に終了する予定で、4月1日から宿泊を受け入れる予定です。予約は3月1日から受付を始めています。

(国際ホテル旅館2026年3月5日号から抜粋)
