TOP INTERVIEW
経営者に聞く
顧客満足度向上のさらなる追求が最優先【ベッセルホテル開発】
ベッセルホテル開発(広島県福山市)が展開する「ベッセルホテルズ」は、顧客満足度の追求を加速させる。国内ホテル・旅館の宿泊料金の値上がり傾向が続く中、代表取締役社長の瀬尾吉郎氏は「顧客満足度のさらなる向上を追求することが優先」と言い切る。母体のベッセルグループは1924年(大正13)の創業から100周年の節目を迎える老舗企業。顧客との信頼関係を重視し、次の100年に向けて地道な努力を重ね続ける瀬尾吉郎社長に聞いた。
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――「J.D.パワー 2024年ホテル宿泊客満足度調査」で、ベッセルホテルズがミッドスケールホテル部門第一位に(リッチモンドホテルズと同点)。
瀬尾 今回の調査では、コストパフォーマンスの良さが特に評価されました。当社が重点的に取り組んできたことが認められたと受け止めています。
一般的に、宿泊料金が値上がりすると、その分、客室空間や接客サービスに対する評価が厳しくなります。私たちは、先に値上げをするのではなく、まずは高水準の顧客満足度を追求する。その順番を間違えないようにしてきました。ベッセルホテルズ利用する全ての宿泊客が大切ですが、中でも特にベッセルホテルズを使い続けて下さる会員客、法人契約企業の顧客満足に繋がる滞在体験の提供を意識しています。また、国内主要OTAの評価点数も毎日チェックしており、5点満点中4.5点以上であることを一つの目安にしています。
――会員制度「ベッセルクラブ」の会員数も増えている。
瀬尾 今年4月にポイントプログラムの内容を見直し、ランク制度を充実させ、サービスを拡充しました。会員数は11月現在で52万人。最近では月間2万人以上のペースで新規入会者を増やしており、フロントスタッフが宿泊客一人ひとりに地道に声掛けをしてくれた成果です。今後2年以内に100万人の規模を目指しています。会員客は公式HPを通じて特別価格で宿泊予約ができるほか、週1回のペースでお得なクーポンも配信しています。
――出張機会の減少から、宿泊主体型ホテルの宿泊客層はビジネス需要から観光・レジャー需要にシフトする動きがある。ベッセルクラブの会員客層としても観光・レジャー需要を意識しているのか。
瀬尾 ベッセルホテルズのコンセプトである「あなたと家族と街を愛する。」を具現化するサービスとして「18歳以下の子ども客は添い寝無料」を実践してきました。また、乳幼児向けの備品・アメニティとして、ベビーベッドなどの貸し出し品、おむつ・おしりふきなどの無料サービスも行い、小さな子どもを連れた家族旅行の受け入れに力を入れてきました。
(国際ホテル旅館2025年1月5日号から抜粋)