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- 本紙好評連載
- 24.02.28
第1回 令和の今も…間違いだらけのレベニューマネジメント【令和の「レベニューマネジメント」新常識】
本紙における私の連載が、2011年から足掛け14年目に突入しました。
そもそも、連載のきっかけが「レベニューマネジメントについて解説してほしい」という本紙の要請を受けて始まったものですが、あれから13年を経てホテル・旅館を取り巻く環境も激変しました。
連載を始める少し前、2000年代はレベニューマネジメントが大手ホテルチェーンへ浸透していった時期でした。その後、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災を経て、2010年代には宿泊特化型ホテルチェーンへの導入が進みました。この頃に「レベニューマネジメント」という単語を耳にするようになった方も多いでしょう。特に運営する部屋数の大きい大手チェーンは、増えつつあったインバウンドに対応するため、しっかりとした社員教育を行い、専門コンサルタントとともに具体的な手法を習得していきました。
この流れに取り残されてしまったのが、中小規模の宿泊特化型ホテル、リゾートホテル、旅館などです。十分な知識が無いまま「価格を変動させること」すなわちダイナックプライシングを行い、周辺ホテル・旅館と競合することがレベニューマネジメントであると誤認するを生んでしまいました。
この「誤認」が、2019年に京都エリアでの価格崩壊を引き起こした要因になりました。京都に旅行者が集中し、宿泊業が儲かるということで、2016年くらいから比較的開業ハードルの低い宿泊特化型ホテルや民泊が激増、オーバーツーリズムをはじめとする観光公害の発生により、日本人客が敬遠してしまい、需要と供給が逆転してしまいました。
この時、新興ホテルがレベニューマネジメントと称して満室稼働を求め、他社よりも一円でも安くと低価格競争が勃発、それが価格崩壊を招きました。
競合分析は、価格決定における重要なファクターであっても全てではありません。4コママンガに示した通り、競合と足並みを揃えることで損をしてしまう場合があります。弾数(=部屋数)が多いホテルは「隠し玉」を持っていて(一度販売を停止して様子見をする)、中小ホテルがその価格に引っ張られて設定すると大損してしまいます。
逆に、価格の高い部分(上澄み)を得られれば、収益は一気にアップします。これは競合分析をしている限り、決して得られない利益です。
本来、室数の少ないホテル・旅館は有利なのです。大手は毎日、200室・300室の客室を売らなければなりません。そのため、最初は満室に近づけるために多くの販売数が必要になり、安い価格で販売せざるを得ません。中小のホテル・旅館なら〝良いとこ取り〟で必要な販売数に達するはずなのです。
京都で価格崩壊が起きた2019年の終わり頃には、大阪や東京でも異変が起きていました。先行きを心配していたところ、翌年の年明けにコロナ禍という予想外の災厄が起き、インバウンドがゼロという異常事態になりました。
そのような中でも、それ以前に計画されていたホテルの新規計画は水面下で進みます。つまり、現在の2024年は当時よりも客室供給量が増えているのです。そのような状況下で、今ようやく2019年の訪日外国人旅行者数に届くかどうかという市況になりました。
今こそ、中小のホテル・旅館は正しくレベニューマネジメントを理解し、実行しないと取り返しの付かないことになります。本稿では、改めて今一度レベニューマネジメントへの適切な理解を促したいと思います。

【令和の「レベニューマネジメント」新常識】 小林武嗣氏(C&RM社長)
(国際ホテル旅館2024年2月5日号)
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