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  • 24.08.21

おもてなし規格認証 全国333事業所で取得【東横イン】

おもてなし規格認証 全国333事業所で取得【東横イン】

東横イン(東京都大田区)は6月30日、経済産業省が創設した「おもてなし規格認証」の「紺」認証を取得。7月22日に認証授与式が行われた。同社は今回、国内で運営する333事業所で紺認証を取得。1企業が一度に取得した事業所数としては最多になったという。取得までの経緯と道のり、一斉取得を目指した狙い等、黒田麻衣子社長の思いを聞いた。

 

おもてなし規格認証制度は2016年、日本のサービス産業と地域経済を活性化することを目的として経済産業省が創設したもの。一般消費者向けにホスピタリティサービスを提供する事業者を中心に多数の認証実績があり、特に宿泊業や飲食業、小売業、旅客運輸業等の観光関連事業者に高品質なサービスの提供・維持・向上を促す狙いがある。

東横インは昨年・2023年3月、認証取得を目指す旨を社内へ発信。全社を挙げたプロジェクトを始動した。333事業所が足並みを揃えて認証を取得するという計画は、様々な困難を伴ったという。

例えば、今回取得を目指した「紺」認証は、条件の一つに「おもてなし人材要件を満たした人材が1事業所に1名以上配置されている」ことが求められる。この達成のため、同社役員が会社・組織全体のおもてなし品質を高める理論を学ぶ「ホスピタリティ・コーディネータ(HC)」の称号、ならびに各ホテルの支配人や入社10年以上のベテランスタッフ等がおもてなしに関する理論と実践の両面を理解した「アソシエイト・ホスピタリティ・コーディネータ(AHC)」の称号を取得するための講習を実施。認証取得の時点で、同社社員のうち492名にAHCが授与された。

対象ホテルでの覆面調査にも時間を要した。昨年11月に第1回調査を行ったところ、25%のホテルが基準を満たさないと判定されてしまった。おもてなし規格認証事務局からは改善計画を提出すれば審査を進められる旨の助言もあったが、同社はあえて再調査を依頼。今年2月に改めて調査が行われた。

 

同社はこれまでも、支配人の主導による「委員会」活動等、業務改善を推進する取り組みを行ってきた。今回の認証取得を機に外部評価の視点を取り入れ、今後もHC・AHCの取得や覆面調査を定期的に行う等、サービス品質向上に向けた活動を継続的に進める考えだ。

東横インは2021年からリブランディングに着手。この一環で、同年末に従業員満足度調査を行ったところ、「仕事への誇り」や「心身の健康」に関する評価がサービス業の平均と比べて低い結果が出たという。

「支配人にもヒヤリングしたところ、現場スタッフに求める要素として『接客が上手にできる』ことよりも『協力的である』ことが優先されがちな傾向が見えてきた。特に、調査当時はGoToトラベルの実施期間中で現場業務への負担も大きく、ES向上が最優先の経営課題だと認識した。〝東横INN体験を感動レベルへ〟の実現には、本部の環境整備と現場の接客品質向上の両輪が必須と考えた」と黒田氏。

認証取得に際して特にこだわったのが「国内ホテルでの一斉取得」だった。

「東横INNは日本のビジネスホテルのスタンダードとして、全国どこに泊まっても『清潔・安心・値ごろ感』が得られることをコンセプトとしてきた。これを守りながら+αの進化を遂げるためには、全国の一斉取得が必須と考えた」と語る。

サービス品質とES、双方の向上を図った業務改善も実施。一例として、2022年から1年ほどをかけて各ホテルに自動チェックイン機を導入した。

「実は、当初は自動チェックイン機に対して『サービスレベルが下がる』というネガティブな印象を抱いていた。ただ、従来の対面チェックインでも、スタッフがパソコン操作に集中して宿泊客の顔を見ていなかったり、宿泊客を長時間お待たせしてしまったりと、十分な接客対応ができていないという課題もあった。導入を決断した際には『自動チェックイン機があるからこそ、おもてなしを重視しよう』と考え、フロントスタッフの一人は必ずカウンターの外に出て接客対応したり、自動チェックイン機の稼働状況を遠隔で常時確認し、操作に困っている宿泊客をサポートしたりといった取り組みを実践している」と黒田氏。

(国際ホテル旅館2024年8月20日号)