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  • 25.04.22

ホスピタリティサービス工学から視るCES2025現地レポート(総括)【視点を増やして観光DXを加速】

ホスピタリティサービス工学から視るCES2025現地レポート(総括)【視点を増やして観光DXを加速】

CES2025(Consumer Electronics Show)の内容から宿泊業界の視点からホスピタリティに関わるITトレンドを俯瞰し、今後の観光DXの可能性を考察します。

「IT×ホテル×サービス = 体験価値を生み出すコト消費」という方程式の中で、ホテル・旅館の利用客がどのような体験を得るのか。そして、宿泊の役割とは何かを考えることが大切です。

宿泊施設への滞在体験はチェックインの前から始まります。旅先の情報を提供することで旅の価値は各段にレベルアップします。例えば旅先がワインの名産地であれば、予約を受け付けた後、旅に出る前にその情報を提供し、宿泊先でワインの手配ができるような仕組みがあれば、親切なサービスになると思います。

たとえ求められていない情報だったとしても、先回りした提案が気づきを与え、地域の文化や風土への関心を高めるきっかけとなり得るのです。

旅行は楽しいことばかりではありません。チェックインをはじめとする手続きや諸手配、移動の負担など、無意識のうちに疲労が蓄積します。以前であれば旅行会社の添乗員や現地スタッフが旅行者をサポートしましたが、今は個人が旅行を手配することが主流です。この点を踏まえて、宿泊施設のスタッフには「コーディネーター」への役割も求められるようになります。

チェックイン/アウト手続きのセルフ化が進み、宿泊施設のスタッフの接客業務はより高度にシフトしています。本稿で繰り返し強調している通り「ルームキーを渡す」ことは、サービスではあってもホスピタリティとは言えません。今後は宿泊客が得ている情報や行動履歴を把握してニーズを先読みし、よりパーソナルなホスピタリティの提供が求められるでしょう。

ホスピタリティサービス工学は、工学的なアプローチでサービスの自動化と品質向上を両立させ、人にしか提供できない価値創出を目的としています。

CES2025を通じて浮かび上がった未来像は、最先端のハード、情報ソフトウェア、そして生成AIが一体となり、宿泊・観光業のオペレーションが高度に自動化されていくことが可能になる、ということです。そのプロセスが新たな旅行体験となり「コト消費」をさらに豊かなものにするでしょう。

観光産業の未来を考える上で、最先端技術の理解と活用は不可欠です。今こそ私たちは、世界の動向に目を向けながら、日本の観光のあるべき姿を描いていく必要があります。

藤原猛氏(タップ ホスピタリティサービス工学研究所 所長)

(国際ホテル旅館2025年4月20日号)