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  • 25.07.09

第6回 レベニューマネジメントから見たAgoda問題【令和のレベニューマネジメント新常識】

第6回 レベニューマネジメントから見たAgoda問題【令和のレベニューマネジメント新常識】

海外予約サイト「Agoda(アゴダ)」をめぐる宿泊予約のトラブルが注目を集めています。ホテルの現場では、宿泊予約客などから「予約情報がホテルに伝わっているのか」という問合せも急増しているようです。

 

この問題が厄介なのは、宿がAgodaと直接契約していなくても、他のOTAや旅行会社が客室在庫をAgodaに転売している場合があることです。Agodaだけの問題というより、海外OTA全般との付き合い方に関わる課題と言えるでしょう。トラブルの発生率自体は全体の予約の1%未満ともいわれますが、大型ホテルやチェーンホテル等、予約の取り扱い件数が多いと遭遇する確率も高くなります。

本来は旅行者個人とOTAの間で解決すべき問題ですが、特に海外OTAはカスタマーサポートの体制が不十分なため、先に触れたように宿への問合せが増えたり、あるいは旅行者が現地に到着してからトラブルが発覚したりして、最終的に宿側が対応を迫られるケースが頻発しています。

特に日本人は契約に対する認識が甘く、OTA経由の予約を宿と直接契約したと誤解している旅行者が少なくありません。OTA側の不備を宿側の責任だとして、スタッフが責められてしまうこともあるようです。

ただ、訪日外国人旅行者が多い関西の外資系ブランドホテルでは、このようなトラブルがあまり報告されていません。これは、外国人旅行者は海外OTAに対して一定の不信感を抱いており、「予約がきちんと入っていない可能性がある」と認識しているため、予約確認メールを必ずチェックし、疑問や不審なことがあれば自ら進んで問い合わせる習慣があるからです。

日本人旅行者は、楽天トラベルやじゃらんnet、一休.com等の国内OTAに慣れているため、「予約完了」の画面表示で安心してしまい、メール確認を怠りがちです。海外OTAも国内OTAと同様のサービス品質だと認識していることが背景にあると考えます。

要は、問題は「外国人客が海外OTAを使うこと」ではなく、「日本人客が国内OTAと同様の感覚で海外OTAを使ってしまうこと」にあります。

とはいえ、海外OTAはプロモーションに莫大な費用を投じ、そのため、集客効果が非常に高いのも事実です。海外OTAを適切に活用することは重要ですが、チャネルマネジメントの観点から、繁忙期の販売を早めに手じまいする等の判断が望ましいでしょう。繁忙期の予約トラブルは代替案の提示も難しく、高額な手数料も発生するからです。

海外OTAに限った話ではありませんが、繁忙期は自社予約優先、閑散期または通常期は全てのチャネルを開放する、といった運用が有効です。

閑散期であれば、仮にトラブルが発生しても代替部屋を提供するなどの対応が柔軟にでき、宿の評価向上にも繋がります。逆に繁忙日は、代替部屋を案内しにくいことに加えて顧客対応も十分に行き届かず、OTA経由の予約案件は厳しい評価がつけられるリスクがありますが、リピーターの利用が多い自社サイト経由の予約案件はそのリスクも抑えられます。

低・中需要日は丁寧な接客がしやすく、好印象から評価の底上げにも貢献します。加えて低需要日は料金も低く設定しやすいので手数料も抑えられます。チャネルマネジメントもレベニューマネジメントの一環と位置付けるべきでしょう。

 

小林武嗣氏(C&RM社長)

(国際ホテル旅館2025年7月5日号)

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