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- 本紙好評連載
- 25.12.07
第11回 レベニューマネジメントの課題と未来【令和のレベニューマネジメント新常識】
「売上は本部、顧客満足(CS)は現場」という前提に基づいた評価制度が、宿泊業界の人手不足を加速させています。
客室が高値でたくさん売れれば、本部のレベニューマネージャーは評価されるでしょう。しかし、現場はひっきりなしに訪れる宿泊客への接客に加え、高値ゆえに期待されるサービス品質にも応えなければなりません。十分な人員を確保できない状況で対応が追いつかなければ、口コミが悪化する恐れがあります。
現場には売上の評価基準がなく、「いっそ宿泊客なんかいない方がマシ」という不満がたまりやすくなります。そもそもそんな後ろ向きな仕事が楽しいはずもなく、やりがいを失い離職につながりかねません。
離職が増えれば採用基準も下がり、接客に不向きなスタッフが配置されることでさらに口コミが悪化する。その尻ぬぐいを有能なスタッフに押し付けた結果、心が折れてまた人が辞めていく――という悪循環になります。
このことこそが「〝価格優先型〟レベニューマネジメント」が招いた構造的な課題だと言えます。
本来、ホスピタリティ経営は「人を大事にすること」が根幹にあるべきです。売上至上主義に偏り、現場スタッフが理不尽に耐えている現実に目を向けなければ、離職は止まらないでしょう。
私がホテルのコンサルティングを行う際、レベニュー部門だけでなく、総支配人やフロント責任者にも参加を求め、価格設定等について議論する場を設けています。価格に対して全員がコミットし、レベニューマネージャーだけの手柄にするのではなく「みんなでやり遂げた」という一体感を醸成するためです。
レベニューマネージャーは現場の実情を知る必要があり、現場スタッフも価格の根拠を理解する必要があります。口コミ評価が落ちれば、長期的にはレベニューマネジメントの効果も落ちていく。そのことを理解すれば互いの行動も変わるはずです。
「この日を高く設定した理由は分かった。ただ、その日は人手が確保しづらい」
「では自社販売と事前決済を増やして現場負担を軽減しよう」
「それなら対応できる」
といった対話が生まれ、相互に納得できれば良いのです。この対話が無いまま一方的に設定すると、現場は「本部が勝手に決めたのだから、私たちは関係ない」と不服に思うのが人情ではないでしょうか。
結局のところ、AIだろうが優秀なレベニューマネージャーだろうが、価格を決めること自体はさほど重要ではないのです。それよりも、提示された価格に対して全員が納得できる機会を創り、みんなの手柄になる=成果を共有するような組織の一体化を図ることの方がはるかに重要です。
今さら昭和の考え方を…と思われるかもしれませんが、やはり企業は一体感があってこそ成長するものだと思います。オンライン会議システムやコミュニケーションツールが発達している今だからこそ、対話とコミュニケーションを重視したレベニューマネジメントの運用を強くお勧めします。
小林武嗣氏(C&RM社長)
(国際ホテル旅館2025年12月5日号)
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