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- 26.02.23
第27回 CES2026レポート① 宿泊業の「知能化」が解く社会課題、持続可能なホスピタリティ【視点を増やして観光DXを加速】
1月に米国ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2026」は、宿泊・観光産業の歴史的転換点を示唆するものでした。
これまで「利便性」や「効率化」の文脈で語られてきたテクノロジーは、いまや宿泊業が直面する3つの深刻な課題、すなわち「労働力不足」「環境負荷」「超高齢化社会」を解決する、唯一無二の「経営基盤(インフラ)」へ進化したと実感させられました。
「IX」が変える接客の本質
人手不足の解決策は、単なる業務のデジタル化(DX)を超え、AI による「IX(Intelligent Transformation:知能化)」へと昇華していました。
私が注目したのは、表情や声のトーンのわずかな変化から「喉が渇いている」「少し肌寒そうだ」等の言語化されないニーズを察知し、自律的に動く「AI コンシェルジュ」や「給仕ロボット」です。もはや単なるガジェット・ツールではなく、チェックイン手続きや配膳、清掃指示といったルーティン業務をAIが担うことで、スタッフは作業から解放され、ゲストとの情緒的な交流や地域の魅力を語り伝えるといった「人にしかできない付加価値」に集中することができます。
効率化のためではなく、ホスピタリティの本質を取り戻すためにテクノロジーが実装されると実感しました。
「エネルギーの拠点」へ進化
水素燃料電池や次世代固体電池を活用した「エネルギー自給自足型」へと進化する動きも印象的でした。
宿泊施設は、エネルギーを消費する場所から、水素や太陽光発電と連携し、蓄電池を統合管理するスマートグリッドの中核へと変わりつつあります。環境意識の高いZ世代やミレニアル世代の支持を得られるだけでなく、災害時に地域住民や帰宅困難者の避難拠点として機能する「レジリエンス(回復力)」という新たな価値も創出します。脱炭素投資はコストではなく、地域における信頼とブランド価値を構築するための戦略的投資になり得るのです。
新時代のユニバーサルデザイン
最後に、超高齢化社会への対応です。
最新の空間センシング技術として、身体的制約を持つゲストの動きをAIが捉え、照明やドアの開閉などを自動で最適化する「パーソナライズ・ルーム」や、歩行を支援する軽量なパワーアシストウェア、視覚を補完するウェアラブルデバイスも登場しました。
これにより、「旅を諦めていた層」が宿泊施設にとって重要な市場となる可能性が見えてきました。あらゆる制約を取り払う「インクルーシブ・ホスピタリティ」こそが、今後の宿泊業における最大の成長領域であることを、CESは示していました。
テクノロジーは「おもてなしの心」を代替するものではなく、むしろ、それを拡張し、守り抜くための盾となる存在です。社会課題をテクノロジーで解き明かし、それを宿泊体験へと昇華させる。その先にこそ、次世代の宿泊事業者が歩むべき持続可能な未来が広がると確信しました。
藤原猛氏(タップ ホスピタリティサービス工学研究所 所長)
(国際ホテル旅館2026年2月20日号)
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