NEWS

ニュース

  • 本紙好評連載
  • 26.05.07

第4回 コンサルタントの選び方③大久保泰佑氏【宿泊運営の強力なサポーター マーケティングコンサルタント大集合】

第4回 コンサルタントの選び方③大久保泰佑氏【宿泊運営の強力なサポーター マーケティングコンサルタント大集合】

奈良県を中心に古民家等の歴史的建築物を使ったまちづくり事業を展開するnarrative(奈良県奈良市)の大久保泰佑さんは、オペレーション支援にとどまらず、ファンド等の金融機関や地域行政との協業により、資金面からも地域再生を支えるコンサルタントとして活躍しています。

 

*****************************************************************

小林 大久保さんは政府系金融機関の出身で、初の観光特化型ファンド組成に携わりました。金融畑からこの分野に転身する人は珍しいと思いますが、どのような経緯があったのですか。

大久保 地方の金融機関等による観光業への投資は、どうしても不動産的な視点になりがちです。しかし、京都や奈良にある社寺をみても分かる通り、観光業は歴史や文化が観光資源になり得るわけです。こうした観点を持たずに投資判断することは、観光業の損失になりかねません。そこに課題を感じ、支援したいと考えたのがきっかけです。

 

小林 御所宝湯(奈良県御所市)やNIPPONIA田原本マルト醤油(奈良県磯城郡)を見学しましたが、現代の感性に通じる洗練された魅力を感じました。

大久保 古いものを活かしつつ、現代の感覚や暮らしに合うようチューニングしています。『文化財をまもる・いかす』ことを実現するために投資をします。

 

小林 地域全体に一体感がある雰囲気も好ましく感じました。

大久保 まちづくりにおいては、行政・民間企業・地域住民の全体を巻き込みながら、私自身は〝まち全体のCFO(最高財務責任者)およびCMO(最高マーケティング責任者)〟の役割を担います。有機的に機能するまちづくり事業を構築することこそ、多くの人に利益をもたらすと考えます。

 

小林 御所の銭湯は、地元の憩いの場にもなっていました。

大久保 観光地に暮らす人々の営みや息吹があってこそ、活気が生まれ、観光で訪れた人との交流によってファンが増えていくと考えます。

 

小林 NIPPONIA田原本マルト醤油では、柱に残っていた麹菌を発見し、その菌によって醤油の味を復活させたそうですね。そういう話を聞くと、一度は味わってみたいと思いますね。

大久保 豪華で行き届いた施設にも魅力はありますが、私たちは長い年月の中で育まれた歴史や文化が生むnarrative=物語を現代の感覚に合った観光資源へと磨き上げることが役割だと認識しています。その価値こそが、インバウンド、特に富裕層を惹きつけると考えています。

 

小林 現在は東京・文京区で大型プロジェクトを進めています。

大久保 本郷エリアで、歴史ある旅館の再生プロジェクトを進めています。その宿は夏目漱石や森鴎外等、多くの文豪に愛されたそうで、私たちの実績を踏まえて依頼を頂きました。

都内有数の一等地で敷地も広大ですから、不動産的な観点で見ればマンションを開発する方が一番儲かるはずです。でも、オーナーはそれを良しとせず、登録有形文化財の本館を含む3棟の建物と旅館の歴史を後世に残したいと考えました。その思いに応えるべく、魅力ある再生を実現したいですね。

 

小林 今後の展望は。

大久保 今、多くの旅館・ホテルが十分な融資を受けられず、設備更新ができずに苦しんでいます。特に木造建物については厳しい状況です。しかし、その宿の物語に目を向ければ、むしろ観光資源として評価される、というケースは少なくないと思います。あるいは、宿単体では難しくても、地域全体で連携することで新たな価値を生み出せる可能性もあります。

金融機関は、こうした〝無形の価値〟を評価することが苦手です。だからこそ、金融・行政・地域をつなぐ存在として支援することが私たちの役割だと考え、私たちがその再生または成長に携わる機会が多くあればと願っています。

 

【大久保さんの得意分野】
・政府系金融機関で培った知見を生かし、観光立国を見据えた地域全体の観光デザインを支援
・相続や M&A を活用した観光地再編の資金調達をサポート
・古民家や歴史的建造物に新たな価値を見出し、「どこにでもある田舎」ではなく「特別な歴史を持つ街」へと再生する

 

小林武嗣氏(C&RM社長)

 

(国際ホテル旅館2026年5月5日号から抜粋)

◇前の投稿◇第3回 コンサルタントの選び方②かずさん