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  • 24.09.21

第11回 高度化するシステム、ユーザーはよりシンプルに!【視点を増やして観光DXを加速】

第11回 高度化するシステム、ユーザーはよりシンプルに!【視点を増やして観光DXを加速】

毎年9月の恒例となっているのが新型iPhoneの発売です。今年は20日にiPhone16シリーズが発売される予定です。

私が2010年にiPhoneを使い始めた時はiPhone4で、ストレージ容量は16GB、価格は4~5万円だったと記憶しています。今はProモデルだとストレージは最大1TB、価格も20万円以上になります。

この15年間でiPhoneは目に見えて進化しましたが、最近は、その形状に大きな変化は見られません。同時に通信の高速化やストレージのクラウド化等も進み、大容量データの送受信、液晶ディスプレイの高精細化、ソフトウェア処理能力を高める内部チップのバージョンアップ等、見た目では分からないところが目覚ましく進化しています。

目に見える部分が進化する場合と内部が進化する場合とでは、消費者の行動も異なります。前者は発売日に大量注文が入ったり、店頭がお祭り騒ぎになったりするものですが、後者はスタートダッシュが起きるようなインパクトは無く、代わりにアーリーアダプター(early adopter)と呼ばれる早期購買層がいち早く使用し、その評価を受けて後続の消費動向が起きる流れとなります。

スマートフォンの場合、見た目は変わらなくても内部は紛れもなく進歩していて、その結果、色々なことが出来るようになり、それに伴い新しいサービスも続々と生み出されるものです。

観光産業も例外ではありません。対応するアプリがあれば、交通機関の利用も宿泊施設のチェックイン・チェックアウトもスマホででき、目的地への道のりもナビゲートしてくれます。これらのサービスは利用者のフィードバックを得てバージョンアップを続けることでより便利に使いやすくなり、ユーザーの日常にシームレスに溶け込んでいきます。そして、タッチディスプレイや生体認証といった使い勝手がより良くなる進化にも助けられてUIの改善が図られ、人の行動やアクションがよりシンプルになっていくのです。

ホテルや旅館が自動チェックイン機を設置するケースが増えてきましたが、スマホと周辺サービスの進化を考えれば、すでに時代遅れのものになりつつあります。これからは、スマホをはじめとする個人所有のガジェットを通じたサービスを提供が主流となるでしょう。

そうなると、旅先の空港から手荷物をホテルに配送することによる〝手ぶら観光〟、現地の交通手段を一括して検索・予約できるMaaS(Mobility as a Service)等、業種や提供事業者が異なる複数のサービスを連携させやすくなり、旅行者が旅先で受けられるサービスも拡充するのです。これがスマート観光の原則的な考え方であり、高度化・複雑化するシステムをよりシンプルに利用できる世界を目指しているのです。

藤原猛氏(タップ ホスピタリティサービス工学研究所 所長)

(国際ホテル旅館2024年9月20日号)