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コロナ禍に直面する宿泊事業者の建て直しを支援【星野リゾート】

コロナ禍に直面する宿泊事業者の建て直しを支援【星野リゾート】

星野リゾート(長野県北佐久郡)とリサ・パートナーズ(東京都港区)は、国内宿泊施設を対象とした「ホテル旅館ファンド(仮称)」の組成を計画、 5月1日にファンド運営会社のH&Rアセットソリューションズ(東京都港区)を共同で設立した。ファンドは宿泊施設の取得・保有を通じて、ホテル・旅館の事業者に事業承継や事業譲渡支援、オフバランスによる資金調達の手段などを提供すると同時に、運営または経営改善も支援する。

新会社の代表取締役で、星野リゾート取締役新事業推進グループディレクターも務める金谷隆行氏はファンド組成の意図を「宿泊施設の取得・保有から再建までの流れを仕組み化して、事業の建て直しを望むホテル・旅館を迅速にサポートすることを目的としている」と語る。

基本的な再建モデルは、ファンドが宿泊施設の不動産を保有して星野リゾートが運営を支援。星野リゾートが展開する「界」「リゾナーレ」「OMO」などのサブブランドに変更して営業し、事業再建に一定の成果が得られればREITなどへの売却やオーナーへの買い戻しを想定する。

「宿泊施設の事業再建は運営力、オペレーションのテコ入れが最大のポイント。従って、星野リゾートの運営実績がある業態を主な対象に、当社の運営力を活用して建て直しを図る。ただし、例えば地域を代表する名門旅館など、その看板と組織体制を残しつつ当社は黒子に回って支援するなど、当社が運営を行わないケースも出てくるかと思う」(金谷氏)

星野リゾートとしては日本投資政策銀行(DBJ)との共同運営ファンドもあるが「DBJとのファンドは『体質改善』のイメージ。改装工事などによるバリューアップなどを通じて持続的な成長を支える資金を供給する。これに対して今回立ち上げたファンドは『救命救急』。新型コロナウイルスの影響で国内宿泊業の業績が急速に悪化するなか、その応急処置を行って事業継続を図ることを目的としている」(金谷氏)。

6月から7月までの2カ月間で100件弱の相談が寄せられており、ファンド規模が総額100億円・最大200億円のため、まずは確度の高い案件を厳選した上で対応する構え。「コロナ禍は長期化が懸念され、業界環境が徐々に悪化する可能性もある。本ファンドへのニーズも、秋以降から年内・年度内にかけて本格化するのではないかとみており、各社には未来像も含めてヒヤリングして個々にプランを作っている」(金谷氏)