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- 24.04.28
第3回 レベニューマネジメントの「本当の」難しさ【令和の「レベニューマネジメント」新常識】
今回はあなたの「レベニューマネジメント思考適性」を試してみましょう。
ある特定の日(検討している日)の60日前の予約状況が、図の通りであったと仮定します。60日前といえばインバウンドの予約が固まり、国内予約にシフトしていくタイミングです。過去3カ月の同じ曜日における60日前のオンハンド(既に入っている予約)の平均値に対して、検討している日は入り込みが悪いことが分かります。
曜日としては悪くなく、過去3カ月や昨年同時期のシーズン係数を踏まえると、満室に届くという需要予測が出ています。過去3カ月では満室を超える予測も出ましたから、価格も強気の提示をしてきました。しかし、オンハンドが弱いということはマーケットがネガティブであるとも考えられます。どのように考えることが正解でしょうか。
(A) 過去の需要曲線に比べ勢いが弱い。早割等で早めに対策を打つべきだ。
(B) 最終的に満室を超える予測なのだから、今まで通り価格を上げていくべき。
(C) 過去と違う曲線ではあるが、まだ60日前なので様子見するべきだ。
正解は…
「分かりません!」未来のことなど誰にも分かりません。では、どれを選ぶかというと、その人の性格や経験に左右されます。
(A)を選んだ人は「悲観派」です。物事を悲観的に捉える、あるいは上の人から「稼働を上げろ」としつこく言われている、もしくは過去に(B)や(C)を選んでこっぴどく失敗した経験がある人です。
(B)を選んだ人は「楽観派」です。自分の判断に自信があり、失敗を恐れないタイプです。
(C)を選んだ人は「慎重派」です。価格を一度上げた後に下げると、マーケットの不満やキャンセルの可能性が高まります。この時点では思い切った手を打たず、慎重に予約動向を見極めようとします。
実は、結果的には(C)のタイプがコンスタントに成績を収めるのですが、このタイプは傍から見ると「何もしていない」と思われがちです。
以前、とあるホテルチェーンでレベニューマネジメントのコンサルティングをしていた時、本部から「現場が何もしていない」という課題を聞いていました。そこで現場に話を聞いたところ、Excelなどを駆使して一生懸命考えていました。当時の現場は(C)のタイプで、本部は動きが目立たないことをもって「何もしていない」と判断していました。
私から見れば「何もしていない」のは本部です。現場は、本部からたまに「どうなんだ」と声をかけられ、相手が本部のため詳しく説明しようとしもてデータ共有ができない(Excelの弱点ですね)状態。その結果「今は様子を見ています」の一言になってしまう。本部は「いつもそればかり。何もしていない」と思い込んでしまうのです。私は本部に、3日に一度、15分でもいいから話を聞いてみてはどうかと提案しましたが、結局行わることはありませんでした。
一方、私に理解できる素地があると分かった途端、現場側は具体的な数値を例に挙げ、熱心に説明してくれました。私も一緒に考え、背中を押す一言を伝えたところ、それが自信になったようで、そこから劇的に変わりました。
価格の決定は気軽にできることではありません。会社の売上を左右する重大な判断であることを、彼らはよく知っています。
冒頭でレベニューマネジメント思考適性を試すと言いましたが、どれを選ぶかよりも、疑問や仮説を立ててブッキングカーブの「流れを読もうとした」ことを評価します。何が正解かは誰にも分かりません。でも、その姿勢を本部や経営者が耳を傾け「後押し」するだけでいいのです。
派手に動くレベニューマネージャーばかりが目立ち、何もしないレベニューマネージャーを凡庸だとみなしがちですが、その人も、かつてロートル扱いだった山崎武司選手が名将・野村克也氏の「後押し」で本塁打王に化けてしまったようなことが起きると思います。
【令和の「レベニューマネジメント」新常識】 小林武嗣氏(C&RM社長)
(国際ホテル旅館2024年4月5日号)
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