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- 本紙好評連載
- 24.03.28
第2回 レベニューマネジメントシステム動向【令和の「レベニューマネジメント」新常識】
私が日本で最初のレベニューマネジメントを世に出したのは2002年頃のことでした。ザ・リッツ・カールトン大阪のレベニューマネージャーをしていた人が私のもとを訪ねてきて「今、Excelでやってんねんけど大変なんや。何とかしてくへんかー」と声を掛けて頂いたことが開発のきっかけでした。
当時のザ・リッツ・カールトン大阪は日本一のRevPARと言われ、周囲から「あのブランドやから勝手に売れるやろ」「朝食も室料に入れているらしいで」などと根も葉もない陰口を叩かれていたそうです。憤慨する彼にアドバイスをもらいながら、ブッキングカーブやセグメント別分析などの機能を実装させていきましたが、彼が作成したExcelを見て「こんな細かい指標まで見ているのか」と衝撃を受けたことを今でも覚えています。
彼は今もレベニューマネジメントのトップランナーで、個人的には彼こそが日本のレベニューマネジメントの始祖だと思っています。海外のホテルで基礎を身に付け、それを日本のマーケットにアジャストして発展させたそうですが、外資系からスピンアウトしてレベニューマネジメントを普及させた優秀な人たちは他にもたくさんいて、その薫陶を受けて次の世代に引き継がれる流れがありました。
昔はレベニューマネジメントを行わずに価格設定することを「KKD」と揶揄していました。KKDとは「経験」「勘」「度胸」の頭文字で、要は、何となく・根拠もなしに価格を決めることを諫めた言葉です。
しかし、第一線にいる人の仕事を見ていても、私は「結局KKDだな」と思いました。ただし、彼らのKKDは「仮説」「検証」「データ」です。現在のデータの推移を見ながら過去のデータと照らし合わせて、「もしかしたら?」という仮説を立て、その結果を検証・分析するのです。
分析とは析(わ)ける、より分けることです。データを様々な角度からより分けて、自分の仮説と合致しているかどうかを検証し、していなければさらに別の仮説を立てて検証する。この繰り返しです。こうした経験に基づくナレッジがあるからこそ、データに〝意味〟が生まれるのです。データや数値に意味を与えるのは、あくまでも人です。
今「レベニューマネジメントは売れる」と言わんばかりに、様々な会社がシステム開発・販売に参入しています。中にはAIを謳うものもありますが、その多くは競合施設の価格やイベント情報から最適な価格を提示する〝賢い競合比較〟です。競合比較の怖さは前回詳しく解説したので、ぜひそちらをご参照ください。
あるいは〝見やすさ・分かりやすさ〟〝キレイさ〟などの優れたUIを謳うものもあります。「これを使えば誰でもレベニューマネジメントが出来る」というセールストーク付きのものも多いようです。
私はこう聞きたいです。「では、PMS・予約管理システムにはホテル(または旅館)のマネジメントが出来ますか?」と。
そんな訳がありません。PMSは単なるホテルマネジメントのツールであって、決して「良いPMSを使っているからホテルマネジメントは不要」とはなりません。レベニューマネジメントシステムも同様です。システムを使っているからレベニューマネジメントが出来るのではなく、システムを運用する皆さんの頭の中にナレッジがあるから、システムが弾き出した数値に意味が生まれるのです。
そうなると、レベニューマネジメント業務を任されたスタッフが、経験もナレッジも無いのに「誰でもレベニューマネジメントが出来るシステムだよ」と仕事を振られても、「こんなグラフを見せられても意味が分からない。私はどうしたらいいの!?」と当惑するだけではないでしょうか。
【令和の「レベニューマネジメント」新常識】 小林武嗣氏(C&RM社長)
(国際ホテル旅館2024年3月5日号)
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