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経営者に聞く

「東京雲海」ヒット【ホテル椿山荘東京】

「東京雲海」ヒット【ホテル椿山荘東京】

遠方への外出や旅行が難しい状況が続く中、都内に居ながらめったに見ることのできない自然の風景が楽しめると話題になっているのが、ホテル椿山荘東京(東京都文京区)の「東京雲海」だ。広さ5万㎡の庭園に、特殊な自然現象である雲海を再現。この仕掛け人である総支配人の山下信典氏(藤田観光執行役員ラグジュアリー&バンケット事業部長)に企画の経緯を聞いた。

山下氏は2020年1月にホテル椿山荘東京の総支配人に就任した。

「就任時点ではその年に東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定でしたので、私に課せられた重要な課題の一つがその後の事業戦略でした。当施設の強みをいかに活用するかを検討する中で、当ホテルの広大な庭園に人工の霧を発生させて幻想的な情景を楽しむ「東京雲海」を発案しました」(山下氏)。

プロジェクトを進める矢先、コロナ禍で様相が一変。緊急事態宣言の発出などを受け、様々な計画が一時凍結を余儀なくされましたが、山下氏は東京雲海は当初の予定通り10月から実行できるよう、本社を説得して推進した。

「コロナ禍の前から、庭園の強みをどのように活かせばいいのか、問題意識を持っていました。東京雲海は庭園との親和性が高く、将来にわたってホテルの魅力や庭園の価値向上に繋がるコンテンツになり得ると確信していました」(山下氏)。

準備に際しては、庭園を歩きながら雲海を楽しんでほしい、との考えから、身体が濡れないように霧の水分量や粒の大きさなどを何度も検証し、調整した。

今年11月11日に開業70周年の節目を迎えることを踏まえて、現代技術を活用した「庭園プロジェクト」を展開する。1年を7つの季節(椿、桜、新緑、蛍、涼夏・新緑、秋、冬)に分け、それぞれの季節にふさわしい絶景を楽しめるよう様々な演出を取り入れている。また、これらの季節に合わせて、季節ごとのコンセプトに沿った商品を宿泊・スパ・レストラン・婚礼のそれぞれで造成している。