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経営者に聞く

「out of box」の精神でピンチをチャンスに【東京マリオットホテル】

「out of box」の精神でピンチをチャンスに【東京マリオットホテル】

東京マリオットホテル(東京都品川区)は、緊急事態宣言の発令を受けて4月20日から臨時休業し、6月6日に営業を再開した。2017年から同ホテルの副総支配人・総支配人代行などを歴任し、今年7月に総支配人に就任した山下誠氏は「休業中は営業再開に備えて徹底した衛生・健康管理の対策を講じ、マリオット・インターナショナルが策定した衛生基準、および厚生労働省が示したガイドラインに沿って当ホテル独自の感染症対策を作った」と語る。

「安心・安全な滞在の提供のためには、こうした取り組みを厳格に実践することも大事だが、取り組みの「見える化」を図る、広く発信することも大事だと考える。コロナ禍に限った話ではなく、あらゆるホテルサービスが『利用客が求めるサービスは何か』『どのようなサービスを受けたいと考えているか』から始まるものだと考えており、揺るぎない信条がある一方で、時代や利用目的・宿泊客層などに応じて表現方法を変えていくこともある。そのサービスが正解かどうかの答えは利用客自身が持つもので、少なくともサービスを提供する私たちが「こうあるべき」という固定観念を持つべきではない」(山下氏)。様々な目的を持つ一人ひとりに期待以上のサービスを提供し、喜ばれることこそが「選ばれるホテル」となる神髄で、最大のホテルマーケティングと考える。

「コロナ禍においてもこの考え方は全く変わらない。以前のような距離感での接客は難しいかもしれませんが、ソーシャルディスタンスを保ちながらも私たちのホスピタリティを伝えられる方法があるはず。それを現場で見極めながら、out of box(形にとらわれない)の精神で前向きに取り組むことが、このピンチをチャンスに変える第一歩になる」(山下氏)

ホテルは、営業再開と同時にセールス業務も再開。法人・企業や旅行会社への挨拶回りを行っている。「会議やミーティングのオンライン化が進み、宴会場や会議室に集まる機会が減るのでは、という懸念の声もあるが、むしろ、対面で顔を合わせて互いの意思疎通を図る機会の価値が見直される期待もしている。宴会や婚礼は、単に宴会場という空間を貸し出すだけでなく、その空間において『参加者の記憶に残る体験』を提供することが私たちの仕事。各種演出やパフォーマンスなどのコンテンツや、通信や映像、音響などのインフラも活用し、ソフト面の強化を図ることが、新たな宴会場需要を促すことに繋がる」(山下氏)