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経営者に聞く

ホテルが出店地を人気観光地にする【ホテルマネージメントジャパン】

ホテルが出店地を人気観光地にする【ホテルマネージメントジャパン】

昨年2021年6月、チェーンブランド「オリエンタルホテルズ&リゾーツ」を発足したホテルマネージメントジャパン(東京都渋谷区)。同社が経営および運営する国内22ホテルのうち、「オリエンタルホテル」ブランドなどの16ホテルをオリエンタルホテルズ&リゾーツとしてチェーンブランド化した。この発足に際して組織改革も進め、運営ノウハウやセールス活動を、ホテルの枠組みを超えて共有する取り組みを推進している。

代表取締役の荒木潤一氏「現場スタッフが働く拠点を一時的に変更・異動する取り組みを始めました。元の拠点のホテルで実践していたこと・成功したことを異動先でも試みることで、異動先のホテルの課題解決に生かされることを期待しています。拠点ごとの繁閑期の波に合わせて労働力を調整する目的もあります」と語る。

昨年12月23日にグランドオープンしたオリエンタルホテル ユニバーサル・シティ(大阪市此花区)には、全国から集まったスタッフが開業準備にあたった。今、このホテルで特に好評なのが朝食で、他のグループホテルで人気のメニューを取り入れたビュッフェスタイルで提供している。荒木氏は「メニューやレシピの共有は、サービス品質の向上に加えて、食材の共同仕入れなどにもメリットをもたらす可能性があります」と語る。

また、昨年秋から地域との連携をより深め、魅力を再発見する「コ・クリエーションホテル戦略」を始動した。
荒木氏は「ホテルは『地域の窓口』という役割を担う。地域に暮らす人々や出身者、地元企業などの『関係人口』と、ホテルの機能や人のネットワークなどを共有し、地域の魅力を創造する地域共創戦略を展開します。ホテルと地域がWINWINの関係で相互に魅力向上と成長を図ることで、チェーンブランドの理念を具現化し、日本の観光産業の底上げの一翼を担うオペレーターになることを目指します」と語る。
「ホテルは本質的に、地域経済の活性化や地域振興の一翼を担う存在であるべきです。『人気観光地に出店する』というような発想ではなく、出店地を人気観光地にする、あるいは観光地の価値向上に寄与するという主体的な発想をすべきと考えます」(荒木氏)。

こうした取り組みを通じて、人材育成の機会とすることも目指す。
「ホテルスタッフと地域の人々との接点が生まれ、交流の機会が増えることで、日本の観光産業の担い手という自覚が生まれることを願います。同時に各地域においても、当ホテルのスタッフが観光振興に貢献できるような取り組みができることを期待しています」(荒木氏)。