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経営者に聞く

ホテル激戦区で大ヒット Manga Library

ホテル激戦区で大ヒット Manga Library

国内各地でクインテッサホテルやホテルヒューイット・ヒューイットリゾートなどを展開するコアグローバルマネジメント(東京都中央区)。同社が昨年2月に新規開業したクインテッサホテル福岡天神Comic & Books(福岡市中央区)は、コロナ禍にありながら周辺の宿泊主体型ホテルと比べても好調な稼働・売上をあげている。その理由はロビー一面のブックシェルフに並べられた約7000冊ものコミックにある。

このコミックはMANGA Library(マンガライブラリー)として、福岡天神のほか、既存の運営ホテルを改装・リブランドする形で、クインテッサホテル大阪心斎橋Comic & Books(大阪市中央区)とザエディスターホテル京都二条Comic & Books(京都市中京区)の計3ホテルに設置されている。

各ホテルのロビーエリアにマンガライブラリー専用の本棚を設置し、蔵書数は1施設につき7000冊から1万冊。宿泊客はチェックインからチェックアウトまで利用でき、ロビーでの読書のほかに客室に持ち込むこともできる。

コアグローバルマネジメント代表取締役の中野正純氏は「クインテッサ福岡天神Comic & Booksは、周辺の宿泊主体型ホテルと比べても客室稼働率やRevPARが頭一つ抜きん出ていています。当社は福岡天神エリアでもう1軒、宿泊主体型ホテルのクインテッサホテル福岡天神南(福岡市中央区)を運営しています。福岡天神Comic & Booksの利用客層は福岡天神南よりも幅広く、平日のビジネス客に加えて、週末は地元在住の若い世代のカップルや友人二人グループの利用が目立ちました。福岡天神Comic & Booksは宿泊客の男女比が拮抗しているなど、男性ビジネス客が中心の福岡天神南と比べて明らかに顧客層が違いました」と語る。

福岡天神 Comic & Booksが着工したのは2018年。当初は普通の宿泊主体型ホテルを計画していた。コロナ禍で市場環境が大きく変わり、当社事業全体の見直しに迫られた中、マンガライブラリーを設置する試みに挑戦することとなった。

中野氏は「現状、ホテルの価値を左右する要素は立地(ロケーション)とグレードの二つに集約される。わずか二つの要素の軸をどこに設定するかでホテルの価値の大部分が決まり、さらに言えば、いずれも着工時点で設定がある程度固まっています。そこで考えたのは、この二つ以外に〝新たな価値〟を加えることで、それがコンテンツでした。私たち運営者が発案したコンテンツで、ホテルに新たな価値づけをすることを試みたのです。コロナ禍にあって稼働を維持するには、あまねく人を受け入れるコンテンツが必要です。色々なアイデアを出しましたが、その一つがマンガでした」と語る。