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経営者に聞く

外国人観光・グループ旅行者を想定して立地やサービス計画【からくさホテルズ】

外国人観光・グループ旅行者を想定して立地やサービス計画【からくさホテルズ】

からくさホテルズ(東京都港区)は、主力ターゲットを外国人観光客とした宿泊特化型ホテル「からくさホテル」を展開。2016年3月に大阪と京都でオープンし、翌2017年1月には3号店「からくさスプリングホテル関西エアゲート」(大阪府泉南郡)を開業した。

この3店は別用途の建物をコンバージョン(用途転換)したもので、以降は新規開発が中心だが、土地・建物は自社所有から借地、マスターリースと様々なスキームで実施。その柔軟性がスピーディーな出店計画を後押ししている。

「一般的に、多くのホテルは観光客の『旅の目的地』に出店を考えると思いますが、私たちは『旅の通過地点』『ゲートウェイ』にこそ商機があると見込んでいる」と、代表取締役社長の佐藤亮祐氏は語る。

象徴的な事例が3号店のからくさスプリングホテル関西エアゲートだ。ロードサイドの家電量販店をホテルに用途転換した。関空エリアの宿泊施設の集積地帯からは離れた場所に位置している。

この立地環境から、同ホテルは開業当初から空港とホテルとを結ぶ送迎バスを運行して宿泊客のアクセスをサポートしてきた。このサービスが鉄道の営業時間外に空港を利用する旅行者に評判となった。関空がLCCの受け入れに力を入れ、深夜・早朝便の運航が活発になったことも追い風になった。計画段階では「ホテル向けの立地ではない」「競合ホテルよりも空港から遠く集客が難しい」など、否定的な意見ばかりだったが、結果的に外国人観光客のニーズに応えるホテルとなった。

からくさホテルは1室に2名以上を収容し、観光旅行者に快適な機能を備えた客室を、ミドルクラスの価格帯で提供する。客室構成は20㎡以上のツインルームを基本とし、コネクティングルームが全客室の過半数を占める。

フロントスタッフには外国人または外国語が堪能な日本人を登用し、客室には海外製電化製品に対応したユニバーサルコンセントを設置。館内デザインは和モダンを基調とするなど、外国人客が安心して滞在できる配慮も取り入れている。

北海道や東京などで運営または開業計画を進めており、2020年までに全国10軒・1500室の開業を目指す。