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新しい働き方を実践する先行事例【帝国ホテル 東京】

新しい働き方を実践する先行事例【帝国ホテル 東京】

帝国ホテル(東京都千代田区)のグループホテルの従業員食堂は、自営化以前は外部企業に業務を委託していた。コロナ禍の影響で業務量が大きく減少する中、ホテルの人材を有効活用し、雇用確保の狙いも踏まえて各ホテルの自営化に踏み切った。

昨年8月にオープンした、帝国ホテル東京の従業員食堂「サステナブルカフェ
テリアエスポワール」は、立ち上げに際してメニューの考案から食材の調達、調理スタッフの招集など、様々なハードルがあった。帝国ホテルのシェフは全員フランス料理が専門だが、エスポワールでは利用者の食べやすさ等を考慮して、ラーメンやそば・うどん等、ホテル内レストランで提供していないメニューも用意する必要があった。開業準備の2カ月間、同店のシェフ松浦永幸氏を中心にメニューの試作を何度も繰り返したという。

食材には、ホテル内レストランで常備していた食べごろを過ぎた食材や、宴席の参加者が直前に減ったりなどの理由で、行き場を失った食材、調理過程で出た食材の部分・端材などが活用されている。

様々な部門・キャリアのスタッフ全員が、基本的に同じ業務にあたっている。これまで担当したことのないジャンルの調理など、新たな業務経験も多く、特に若手スタッフにはベテランスタッフから調理技術を直接学び、伝統の味を勉強できるチャンスもある。スタッフ自身が自らメニューを考案して実際に商品化することも、レストラン勤務ではなかなかできない経験だ。

人事部労務課エスポワールシェフの松浦永幸氏は「まずは働いている私たちが積極的に業務やサステナブルな活動に取り組む」とスタッフに呼び掛け、自発的にアイデアが出るよう活発にコミュニケーションを取る機会を設けるなど、働きがいのある職場づくりに力を注いだ。人事部労務課労務支配人の玉置文枝氏は「今では、エスポワールに配属されたスタッフが生き生きと仕事をする様子を見て『私もエスポワールで働きたい』と声をあげるスタッフが出てくるほどです」と目を細める。