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経営者に聞く

魅力ある地域づくり 宿泊業界が先頭に【全日本ホテル連盟(ANHA)】

魅力ある地域づくり 宿泊業界が先頭に【全日本ホテル連盟(ANHA)】

昨年2021年4月1日、全日本シティホテル連盟(JCHA、東京都千代田区)は「一般社団法人全日本ホテル連盟(ANHA)」に名称を変更した。創立50周年を記念したもので、1971年(昭和46)全日本ビジネスホテル協会として発足し、ビジネスホテル業態の認知・普及に大きな役割を果たしてきた同連盟。名称変更を機に「新しい物語を、ホテルから」というステートメントのもと、日本や地域に新たな風を起こすイノベーターとなることを目指す。

コロナ禍が日本の宿泊経営に打撃を与えている。清水氏は「観光需要の喚起策としてGoToトラベル事業が行われたが、途中から会社名義の領収書発行が禁止された。これにより、特にビジネスホテルのGoTo需要に急ブレーキがかかりました。連盟の調査では、GoTo期間にコロナ禍前よりも売上が落ちたとするホテルの数が、売上が上がったとするホテル数を上回りました。さらに、領収書発行禁止を巡っては、連盟会員ホテルの88%が宿泊客から『領収書が発行されないことによる苦情があった』と回答しており、連盟は観光庁へ再三改善策を申し出ています。コロナ禍からの経済復興が課題となる中、出張客を応援することは、地域の飲食店や公共交通機関の利用機会を創出することにもなります。事業全体の予算的な問題があるのであれば、割引率等を調整し、出張旅行を外すようなことは避けてほしい」と語る。

コロナ禍が長期化し、国内のホテル市場は供給過多が指摘されている。さらに、コロナ禍を機にテレワークが普及し、その便利さが浸透したことを考えると、今後出張需要は確実に減るとみられる。清水氏は「シングルルームを中心とするビジネスホテル業態は縮小傾向になり、観光需要を獲得する業態へと転換を余儀なくされるでしょう」と指摘する。
「日本の人口は減少に転時ていますが、世界の人口は拡大しています。これは、将来的にインバウンド市場が拡大していることを意味しています。交流人口の拡大によって日本経済の発展を支えるのが我々宿泊業界であり、県外・海外から人を呼び寄せることで地域経済を支えることが使命であると考えます。人を呼び寄せるためには、魅力ある地域づくりが不可欠。地域コンテンツの充実を図るよう、我々宿泊業界が先頭に立つべきです」(清水氏)。