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経営者に聞く

AI検索に「見つかりやすい」情報発信を支援【Terrace Roots代表取締役 松井拓未氏】

AI検索に「見つかりやすい」情報発信を支援【Terrace Roots代表取締役 松井拓未氏】

Terrace Roots(滋賀県大津市)は4月、ホテル・旅館向けに「GEO(Generative Engine Optimization)」支援を提供する会社として設立された。ChatGPTやGoogle AI等のAIツールが旅先や宿選びの入り口となりつつある状況を踏まえ、宿泊施設の情報がAIに正しく認識・引用されるための各種施策を支援する。

同社設立の経緯やAI検索の現状について、代表取締役の松井拓未氏に聞いた。

 

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――松井さんはもともとホテル業界でキャリアを重ねてきた。

松井 大手鉄道会社系列のホテル運営会社に長年勤務し、現場で支配人を歴任したほか、本部でマーケティング業務にも携わりました。本部では口コミ分析ツール「TrustYou」のデータを徹底的に分析し、単に評価を数値化するのではなく、そこから業務改善につながる示唆を導き出すことを重視してきました。

 

――なぜ独立し、Terrace Rootsを設立したのか。

松井 生成AIが急速に普及する中、これからは「AIに推薦されるかどうか」が集客を左右する時代になると考えました。宿泊事業者の生存戦略が大きく転換する局面にある、と感じたことが、独立のきっかけです。

AIを積極的に活用できる宿泊事業者は競争力を高められる一方、対応が遅れた事業者は利益構造がさらに厳しくなるでしょう。特に地方の宿泊施設は集客面で厳しい環境にあり、AI時代にはその格差が一層広がる可能性があります。そこで、この新たな検索環境への対応を「GEO(Generative Engine Optimization)」と位置付け、事業化しました。

 

――宿泊業界では、AIへの関心や対応はまだ十分とは言えない。

松井 専任のマーケティング部門を持つ大手ホテル運営会社では関心が高まりつつあります。独立系のホテル・旅館では、経営者自身が危機感を持っている施設ほど対策に乗り出している印象です。

AI検索の普及は、地方や中小の宿泊施設にとって大きなチャンスになり得ます。従来のSEOは、資本力や軒数・客室数で勝る大手ほど有利でしたが、生成AIは「誰に・どのような価値を提供する宿なのか」という明確なストーリーや実績の情報を重視します。地方や中小でも、歴史やコンセプト、地域性等を継続的に発信することで、AIから推薦されやすくなる可能性は十分にあります。

 

――独自にAI検索の動向調査も行っている。

松井 調査では、地域ごとにAIが引用する宿泊施設に違いが見られます。

例えば、草津温泉では老舗旅館の引用率が高く、長年の営業実績や歴史が信頼性の高い情報として評価されているようです。一方、由布院では女子旅向けの情報発信を積極的に行ってきた旅館が高く評価されています。Instagram等に蓄積された宿泊客の投稿やレビューが、AIの回答にも影響を与えていると考えられます。

重要なのは、施設のブランドコンセプトや主要ターゲットを明確にし、それに基づく情報を継続的に発信することです。施設の強みを整理し、オウンドメディアや公式サイト、SNSなどで一貫した情報を蓄積するとともに、AIが引用しやすい情報構造を整えることも欠かせません。

 

(国際ホテル旅館2026年7月20日号から抜粋)