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  • 19.11.01

国内旅行市場の縮小に危機感

国内旅行市場の縮小に危機感

「日本の観光産業には『不都合な真実』がある」。

10月9日、星野リゾート(長野県北佐久郡)代表の星野佳路氏は、定例プレス発表会の席でこう口にした。

星野氏がいう「不都合な真実」とは、日本国内の旅行者数・消費額の推移だ。訪日外国人旅行者数・消費額が右肩上がりの成長を続ける一方、日本人による国内旅行市場は横ばい、ないしは縮小傾向にある。インバウンドが増えたとはいえ、日本の旅行市場に占めるシェアは日本人の国内旅行が圧倒的に大きい。星野氏は「もっと日本人を大事にしなければいけないと思うのと同時に、国内市場の縮小を企業リスクとして冷静に検討しなければならない」とし、同社が打ち出している様々な新規事業の企画背景となっている。

例えば、今年軽井沢で試験的にオープンした新ブランド「BEB」(ベブ)は、若年層に照準を当てて事業を計画。35歳以下なら通年均一料金としている。星野氏は「ホテルの料金変動(レベニューマネジメント)が、若年層には複雑で分かりにくい仕組みと受け取られている可能性がある。この世代にとって料金は旅行商品選択の最重要要素になっている」と、均一料金を採用した理由を語る。

また、来年はじめにはハワイのホテル運営に着手する。星野氏は「出店軒数などの数値目標は設定していないが、グローバルオペレーターとしての成長を目指す上で欧米進出を果たしたい」と意気込む。同時に、「日本の観光産業を盛り上げたいという気持ちと同時に、日本の旅行市場の縮小は企業にとってリスクでもある。その分を海外事業で稼ぎたい」という気持ちもあるという。

これらを踏まえて、星野氏は日本の観光産業に向けた提言として「休日の分散化による宿泊需要の平準化促進」「旅離れが懸念される20代に向けたアプローチ」「UberやAirbnbなどシェアリングエコノミーの活用」の3つを挙げた。