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- 本紙好評連載
- 25.11.25
第24回 市場規模の成長性と現場との間にあるギャップ【視点を増やして観光DXを加速】
先日、あるラグジュアリーリゾートホテルのレストランで、サービスロボットが動いているところを見かけました。ロボットとは無縁のホテルだと思っていたので、その光景には大いに驚かされました。
ある調査によれば、世界のサービスロボット市場規模は2016年に130億ドル程度だったものが、2022年には257億ドルに成長し、2028年には347億ドルに達すると予測されています(総務省『令和7年版情報通信白書』)。2016年と言えば「変なホテル」1号店が佐世保に開業した時期(2015年7月)ですが、この10年で市場は3倍の規模に膨らんだことになります。ラグジュアリーホテルでロボットを見かけるようになることも当然の流れと言えるでしょう。
サービスロボットの市場拡大の背景には、街中のレストランや小売店等で活躍している配膳ロボットや清掃ロボットの存在があります。中小企業庁は「省力化投資補助金」の取り組みの一環でカタログを公開し、導入しやすい環境整備も進めていますが、にもかかわらず、ホテル・旅館へのロボット導入は思うように進んでいません。
その原因として、一つは「制度への周知不足」が挙げられると思います。現場でロボットの活用が検討されても、議論のテーブルに上がるところまで至っていないのかもしれません。
ただ、世界市場も含めてここまで普及が進んでいる以上、確かなニーズが存在することは間違いないと思います。現状を客観的に評価・分析し、どの程度の効果が見込めるのか、改めてホテル・旅館の現場で活発に議論することが求められています。
もう一つの導入障壁として「導入コスト」の問題がありますが、今はサブスクリプション等によって、より導入・運用しやすいモデルの選択肢も増えています。
仮に導入した場合、その先にある世界観として「サービスロボット同士の情報連携」があることにも目を向けてほしいと思います。ロボットがスタッフの指示や操作を待つことなく、ロボット同士が場の状況に応じて臨機応変に動いてくれる、あるいは動ける状態になる(レディ状態)になる、という考え方です。これはつまり、人が場の環境や状況に応じて行動することと同じであり、まさに〝人手不足の解消〟という言葉がしっくりくる世界になります。
私が課題だと感じているのは、人手不足の裏にある人件費の高騰です。右肩上がりが続く人件費を負担してまで、ロボットに代替可能な単純作業を人が行うべきだと捉え続けることが、これからの時代、決して正しいとは思えません。
事業性や経営効果を高める意味でも、人材という貴重な資源を適切に配置し、最大限の効果を引き出すことが求められると思います。ホテル・旅館には常に進化が求められ、これに対応しなければ宿泊運営の持続可能性は実現しないでしょう。
藤原猛氏(タップ ホスピタリティサービス工学研究所 所長)
(国際ホテル旅館2025年11月20日号)
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