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  • 開発、開業計画
  • 19.11.12

京都・祇園「弥栄会館」を活用したホテルを検討【帝国ホテル】

帝国ホテル(東京都千代田区)は10月9日、京都・祇園の「弥栄会館」(やさかかいかん)を活用した新規ホテル計画の検討および協議を開始した。

弥栄会館を敷地内に擁する祇園甲部歌舞練場(京都市東山区)の所有者、八坂女紅場学園(京都市東山区)との間で基本合意書を締結したことに基づくもの。現存の建物を保全するか否か、あるいはホテル用途への改修が可能かどうかも含めて検討する。

弥栄会館は1936年(昭和11)竣工。歌舞練場を補完する目的と当時の社会の進展に適応する施設として建設されたもので、当初は演劇や人形浄瑠璃などに、その後は映画館やダンスホール、コンサートなど各種興行にも利用された。

建物は鉄骨鉄筋コンクリート造で地上5階地下1階建ての劇場建築で、大阪松竹座や東京劇場などを手掛けた大林組の木村得三郎が設計した。各階に銅板瓦葺き屋根をかけ、塔屋状の正面中央部は城郭の天守を思わせる造形で、和風意匠の伝統を巧みに織り込んだ。お茶屋の家並みとともに一帯の景観を形成しており、2001年に国登録有形文化財に、2011年には京都市指定の歴史的風致形成建造物に指定された。現在は建物の老朽化や耐震性の問題から、建物の一部を「ギオンコーナー」および祇園甲部の事務所としているほかは大部分が使われていない。

弥栄女紅場学園は、歌舞練場の耐震改修計画を進めるにあたって弥栄会館をホテルとして活用することを検討。帝国ホテルに相談をしていた。帝国ホテル側も、京都を新規事業の有力な候補地としており、同社の歴史や企業理念との親和性が高いと判断している。

ホテルの規模や仕様等は今後の協議を踏まえて正式に決定するが、上高地帝国ホテル(長野県松本市)と同程度の客室数70室前後から100室未満の規模を想定して計画を進めるとしている。