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  • 25.03.08

第2回 ホテル・レストランショー雑感【令和の「レベニューマネジメント」新常識】

第2回 ホテル・レストランショー雑感【令和の「レベニューマネジメント」新常識】

今年のホテル・レストランショー(HCJ2025)が2月7日まで開催されました。私たちのブース「ホテル・旅館専門WEB集客支援委員会」にも多数の来場者にお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。私を訪ねて下さった方も多く、不在の際にお会いできなかった方にはこの場を借りてお詫び申し上げます。

今回、ホテルIT関連のブースでは、これまでお馴染みのITベンダーに加え、新規参入の企業も目立ちました。ホテル業界の盛り上がりに伴い、さらなる技術革新の波が押し寄せていることを実感しました。近年はZoomなどのオンラインミーティングが普及した影響で、頻繁に会話しているITベンダーの方たちと今回の展示会で初めて直接顔を合わせるという珍しい場面もありました。

全体的な印象として、WEBマーケティングや来客時のインフォメーション用アプリ、客室からの注文システム、自動チェックイン機・自動精算機といった省力化・生産性向上をテーマとした技術が多く見られました。一方で、昨年多く見かけたロボット関連の展示は減少傾向にありました。自動清掃ロボットや配膳ロボットはありましたが、昨年のような高度な仕組みを実現する新技術は目立ちませんでした。

これは、ロボットの導入による明確な効果が示されていないことが一因かもしれません。「少し便利になった」程度の改善では費用対効果の面で導入に踏み切れない施設が多いのではないでしょうか。

ただ、厨房関連のブースでは自動調理機や自動洗浄機が多く展示されていました。厨房は「お客様の目に触れにくい」環境のため、設置場所を工夫しやすく、ロボット技術の導入が進みやすい分野と言えそうです。

鍵関連の展示も多く、特にスマートフォンを用いた解錠システムが今後のトレンドとして注目を集めていました。当社の顧客にも、この技術の実装開発を進めているところがあります。スマホキーの導入にはロックシステムの交換が必要で、客室数が多い施設にとっては高額な費用負担が発生します。オンライン連動による発行管理のハードルもあります。

しかし、この技術が普及すれば自動チェックイン機のようなフロント周りの設備投資が大幅に軽くなる可能性があります。1台数100万円の自動チェックイン機を導入設置するホテルも多いですが、タブレット端末を活用したキャッシュレス決済とスマホキーの発行システムが確立すれば、フロントの風景が大きく変わるかもしれません。

ホテル業界におけるIT技術の進化は、業務の効率化と顧客体験の向上に直結します。今後も最新の動向を注視し、当社もレベニューマネジメントにおける新常識を探求していきたいと思います。

小林武嗣氏(C&RM社長)

(国際ホテル旅館2025年3月5日号)

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