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- 26.08.23
2026年・COMPUTEXから視える観光DXのこれから≪第2回≫【視点を増やして観光DXを加速】
AI技術は日進月歩で進化を続けており、すでに、私たちはその力を借りて人手不足を補いながら、高度な水準のホスピタリティサービスを提供できる段階に入っています。
鍵となるのが「エージェンティック AI(Agentic AI)」です。設定された目標に対し、AIが自ら計画を立て、必要なツールを使い、試行錯誤を自律的に繰り返しながらタスクを完遂しようとする次世代の人工知能システムです。
ChatGPTなどに代表される従来の生成 AIは「1回の質問に1回の応答」で完結する対話型が中心でしたが、エージェンティックAIは、人間が逐一指示を出さなくても与えられたゴールを分解し、次に何をすべきかを自分で判断して動きます。
エージェンティックAIをホテル運営に活用すれば、現場は想像をはるかに超える効率化が進むはずです。ホテルPMSに組み込むと、PMSは「予約・在庫・請求を記録管理するデータベース」から「宿泊施設全体の意思決定と実行を担うエージェント」へと役割を変えていきます。
具体的には、予約・レベニューマネジメントにおいては、OTAの空室状況や競合価格、天候、地域イベント情報などを自らモニタリングし、人間の承認を待つことなく価格改定やオーバーブッキング調整を実行できます。現在のレベニューマネジメントシステムは「価格の〝提案〟」にとどまりますが、エージェンティックAIとPMSが連携すると「提案→実行→結果検証→再調整」を自律的に回します。
ゲスト対応の領域では、チェックイン前の連絡から、部屋タイプの希望確認、アレルギーや記念日といった特別対応の手配、チェックアウト後のレビュー依頼まで、PMSがメッセージングツールやCRMなどと連携しながら自動で進めることができます。
フロントスタッフへの問合せも、PMSが会話履歴と滞在情報をもとに一次対応し、複雑な案件だけを人間に引き継ぐことができます。
より分かりやすい変化が現れるのが、清掃・メンテナンスのスケジューリングです。チェックアウト状況、次のチェックイン時刻、客室設備の故障報告(IoTセンサー連携)などを PMSが統合的に把握し、清掃スタッフやメンテナンス業者への作業指示を自動で行うことができます。
バックオフィス業務でも、請求書発行や会計システム連携、アメニティ・リネンなどの在庫の発注判断などでPMSが能動的に動くようになります。チェーンホテルであれば、PMSが施設間の情報を横断的に分析して、稼働率の低い施設への送客提案や人員の融通提案なども、自律的に行えるでしょう。
ホテル運営がこの水準に到達するのは10年後か、それとも3年後か。そして、こうした未来を私たちは望んでいるのか。人それぞれかもしれませんが、私は、持続可能な事業であり続けるためにはそうなるべきだと考えます。
藤原猛氏(タップ ホスピタリティサービス工学研究所 所長)
(国際ホテル旅館2026年8月20日号)
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