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  • 26.10.08

第3回 複数SaaSの組み合わせと〝隙間〟 【緊急連載 AIプログラミング時代の到来】

第3回 複数SaaSの組み合わせと〝隙間〟 【緊急連載 AIプログラミング時代の到来】

AI時代に宿泊事業者がどのようなDXを目指すべきか、次第に明らかになってきました。

マリオットやIHGなどの世界的大手は本部に技術者を抱えていますし、国内でも一部の大手チェーンは自社開発が可能な体制を整備しています。ただ、その分コストの負担も大きく、外部のベンダーに依頼するのが主流になっています。

しかし、これまでのようなSaaS(インターネット上のサービスを月額等で利用できるクラウドシステム)一辺倒の選択ではなくなってくるはずです。

SaaSにも利点があります。

まず、ハードウェアやネットワークなどの環境を丸ごと任せられる点です。仮にトラブルが起きても、サポートに連絡すれば解決に向かうことも多いはずです。一般的にSaaSベンダーは、24時間・365日体制でサポートしてくれます。

また、SaaSは多くの企業が利用することを前提に価格を設定するので、コストパフォーマンスも高いです。数1000万円の価値があるシステムを複数の企業が共有することで、1社当たりのコストが月額数万円程度に収まります。

反面、他社と共有するということは、自社の特殊な事情にシステム側が合わせてもらえないことにもなります。

一口にホテルや旅館と言っても、業態や規模、付帯施設などによって、業務の導線は大きく異なります。

先日伺ったホテルは、メインの顧客層が研修団体でした。企業のほか、地域の子ども会やNPOの体験会など、様々な団体客を受け入れていました。私はJTBからの要請で、子どもたちの星空観察会を手伝うために、趣味の天体観測機器を持ち込んでそのホテルを訪れました。その際、担当者に宿泊予約システムについて尋ねたところ、既存のSaaS型PMSではどうにも業務が回らず、仕方がなく地元のベンダーに自社仕様のシステムを開発してもらったとのことでした。

この手法だと開発費用は高額になります。しかし、団体客を主要ターゲットとするホテルは、いまやSaaSが相手にする多数派ではなくなっています。

研修設備が充実している点では、他のホテルとの差別化が図れます。一方で、団体客の管理は非常に複雑な業務を伴います。例えば部屋割り一つをとっても、親部屋と子部屋、幹事部屋、添乗員部屋などをどのように割り振るかを考慮する必要があります。また、団体情報を変更した際に、それに紐づく何10室もの客室情報を同様に変更しなければなりません。

売上面でも、団体予約はリードタイムが非常に長い場合が多いですが、募集団体などで最少催行人数に達しない場合は中止になったりします。その進捗を常に気にしておく必要もあります。よく「団体が溶けた(=予約不成立になった)」という言葉がありますが、その溶けるタイミングによっては、様々なリカバリー策を講じなければ客室稼働が落ちてしまいます。

このように、ホテルの特質によって、実はシステムに対する要件も大きく変化するのです。

実業務に密接なシステムほど、複数のシステムを組み合わせて使う際に、どうしても「隙間」が生まれます。この隙間を埋めるために人手を使ってしまうと、現場スタッフの負担は減ることがありません。

しかし、AI時代には、こうした隙間を埋めるDXが普及する可能性があるのです。

 

小林武嗣氏(C&RM社長)

 

(国際ホテル旅館2026年10月5日号)