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  • 開発、開業計画
  • 20.01.28

2020年 客室数は不足しない【みずほ総合研究所】

みずほ総合研究所(東京都千代田区)は、昨年11月29日に「2020年東京五輪開催年のホテル需給の試算」を発表。東アジア市場の訪日旅行者数の減速や供給客室数の大幅増などを受けて、ホテルは不足せず、東京や大阪の稼働率は低下幅が大きくなる公算とした。

前提条件として、訪日外国人旅行者数は政府目標の4000万人を大きく下回り3400万人になるとしており、その根拠として主要市場である東アジア市場の減速、とりわけ韓国人旅行者数の急減や東南アジア方面の人気などを挙げている。

一方、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行で民泊市場が縮小し、宿泊需要がホテルにシフトすることなどを踏まえて、外国人宿泊者数の減少は小幅にとどまると試算している。

日本人と外国人がいずれも予測を上振れするシナリオでは、延べ宿泊者数は6億人で2018年比11.8%増。一方、日本人の延べ宿泊者数が下振れするシナリオでは、外国人延べ宿泊者数の増減に関わらずマイナスが避けられないと予測した。ただし、いずれのシナリオでも外国人のシェアは上昇し、日本国内の宿泊施設における訪日外国人旅行者の存在感は高まると予測される。

また、三大都市圏を除く地方都市圏の宿泊者数は、政府目標の「地方圏の外国人延べ宿泊者数7000万人」の到達は難しいと予測。訪日外客数の中でも地方圏の宿泊者数割合が大きいNIEs、韓国・台湾・シンガポール・香港のシェアが低下すると想定したことに準拠する。

供給側の予測は、2020年に稼働可能な客室数は標準シナリオでは149万3000室で2018年比11万5000室増、延べ数5億4644万室としている。標準的なシナリオでも、日本人も外国人も上振れするシナリオでもホテル客室不足は発生ないとの試算結果となった。この要因として、宿泊需要を上回る供給側=ホテル客室数の拡大があったためとしている。

上記を踏まえた2020年の客室稼働率予測は標準シナリオ・全国平均で57%。同社の昨年試算、57.3%から小幅減となる見通しだ。また、業態別には新規開業の計画が少ない旅館の稼働率が上昇する一方、ビジネスホテルは稼働率が低下する公算が強く、リゾート・シティホテルはどのシナリオでも稼働率が上昇しない可能性が高いとの結果となった。