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  • 26.09.06

第2回 SaaS is Dead.【緊急連載 AIプログラミング時代の到来】

第2回 SaaS is Dead.【緊急連載 AIプログラミング時代の到来】

2024年12月、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏が「SaaS is Dead.(SaaSの時代は終わった)」という発言をしたことが話題になりました。

SaaSとは、導入時の初期費用や月額の固定費などで多くの企業が同じシステムを利用するビジネスモデルを指します。ホテル業界でいえばPMS、ブッキングエンジン、レベニューマネジメント、CRM、BIなどがその対象になるでしょう。

現在販売されているSaaSシステムの多くは、何十人もの技術者を揃え、数1000万円から数億円という巨額の投資をしながら開発されています。ところが、AIプログラミングが普及すると、場合によっては一人の開発者が数週間から数カ月で作れてしまいます。

その状況はすでに始まっています。今後数年以内には「簡単に作れてしまった同等機能のシステム」が登場するでしょう。

そうなると、皆さんが一番気になるのは「今、このタイミングでIT投資をするべきなのか」ではないでしょうか。

AIによって少人数開発が可能になり、さらに、非エンジニア層がAIを活用して開発に取り組むケースも増えています。つまり、現場業務の最前線に立つ人たちが考える「理想のSaaS」が数多く生まれる可能性があるのです。しかも、開発コストは従来よりもはるかに安く済みます。

その結果、損益分岐点は大幅に下がり、特にフロントや宿泊予約管理の領域では、考えられなかったような価格帯の製品が次々と登場するでしょう。

一方、既存のSaaSベンダーは価格面で対抗することが難しくなります。すでに多くの技術者を抱えており、簡単に人員削減することもできないからです。多額の開発費と大規模な技術者組織を抱える SaaS ベンダーが、旧態依然とした商品と販売を続けるのであれば、数年以内に市場から淘汰される可能性があります。それを「SaaS is Dead.」とナデラ氏は表現したのです。

とはいえ、PMSに代表される基幹システムには充実したサポートと高い安定性が求められます。そこに既存ベンダーの活路があるともいえるでしょう。

 

当社の取引先には大手ホテルチェーンも多く、各社の業務にシステムをフィットさせるには、どうしてもシステム改修が必要になるケースが出てきます。そのため、これまで多くのホテル専業SaaSベンダーと話をしてきましたが、改修対応に相当な期間と費用を提示されることが少なくありませんでした。2~3年を要する、という見通しを示されたことさえあります。

しかし、AIによる進化のスピードが加速する時代に、その対応で本当に良いのでしょうか。

なぜ、そこまで時間がかかるのか。理由の一つに、既存ベンダーがAIプログラミングを十分に活用していないことが挙げられます。技術者をアサインし、その技術者がプログラムを一つひとつ書くという従来のスタイルのままでは、当然、時間もコストもかかるでしょう。

もちろん、ベンダーが過剰な費用を請求しているわけではありません。従来の開発手法で考えれば、それだけの技術者と時間が必要になるからです。

ただ、私からすると「AIプログラミングを使えばもっと早くできるのになあ」と思えてしまうのです。SaaS開発の常識そのものが変わろうとしている今、果たして既存のSaaSに今後も投資する価値はあるのでしょうか。

 

小林武嗣氏(C&RM社長)

 

(国際ホテル旅館2026年9月5日号)